2019.03.28 08:00

【JR四国の赤字】鉄道維持の議論急ぎたい

 JR四国の苦しい経営状況が改めて浮き彫りになった。同社が路線別収支を初めて公表し、四国と本州を結ぶ瀬戸大橋線以外は全て赤字であることが分かった。
 特に目立つのが高知県関係の路線の厳しさだ。このままでは将来、路線の廃止論議やサービスの見直しも避けられない。
 「経営努力をしてきたが、JR四国だけで問題に対処するのは難しい」との半井真司社長の説明はSOSに等しい。鉄道網をどう維持するのか、地域の公共交通をどう守るのか。JRの努力に限界が迫る中、議論を急ぐ必要がある。
 公表したのは、管内18線区の2013~17年度平均の営業係数(100円を稼ぐために必要な経費に相当)と営業損益だ。
 営業係数はJR四国全体でも144と厳しいが、個別では予土線が1159で断トツのワーストだった。実際の赤字額である営業損益では、同社全体の約109億円の赤字のうち、土讃線琴平―高知が17億6千万円分を占め、ワーストだった。
 JR四国は旧国鉄の分割民営化で発足して以来32年になるが、営業赤字が連続している。国が設けた経営安定基金の運用益で赤字を埋め、辛うじて経営を保っている。
 だが人口減少が進み、高速道網も広がった。訪日客が増えているが、本業の改善には遠いのが実情だ。現状では四国新幹線も見通せない。
 これまで同社は、赤字構造の詳細ともいえる路線別収支は公にしてこなかった。路線の存廃論議に発展することを避けるためだ。
 公表したのは、それだけ経営環境が厳しくなった証しだ。低金利で運用益が落ち込んでいる。昨年の豪雨災害での被災も大きかった。
 同じく多くの赤字線を抱えるJR北海道は、一部路線を廃止し、バスに転換する協議を沿線自治体などと進めている。バスは、利用者のニーズに合わせて路線やダイヤを組み替えやすく、地方の公共交通手段として優れた点がある。
 対して四国のJR網は4県がほぼ8の字につながっている。列車専用で走行でき、観光振興にも生かしやすい特長がある。一部を廃止すればそうした利点も失いかねない。
 同時に、これが経営上の負担にもなっている。鉄道は行政が管理する道路と違い、線路や駅も鉄道会社が維持しなければならないからだ。
 JR四国は17年、学識者や行政関係者らと鉄道網の在り方を論議する懇談会を設置。自治体が鉄道施設を受け持ち、JRが運行を担う「上下分離方式」も論議している。
 沿線自治体は巨額の財政負担を強いられるため、簡単にのめる手法ではない。JRの現状には国に重い責任があり、課題を地方に丸投げすることは許されまい。
 とはいえ地域の大きな課題だ。地方の視点でしっかりと論議したい。県別の懇談会も設けられるという。本県では、土佐くろしお鉄道の未来図ともつながっている。
カテゴリー: 社説


ページトップへ