2019.03.13 08:40

元残留孤児の「交流の場」高知市に6月開設 県有施設活用

元中国残留孤児らに貸し出される予定の県有施設。左半分を使用する(高知市桟橋通6丁目)
元中国残留孤児らに貸し出される予定の県有施設。左半分を使用する(高知市桟橋通6丁目)
 高齢化する県内の元中国残留孤児(帰国者)の「交流の場」が、高知市内に6月ごろ開設されることになった。言葉や文化の違いから日本式の介護になじめず引きこもるケースもあり、元孤児らは約2年前から県や同市に中国語で気軽に過ごせる宅老所のようなスペースの確保を求めていた。高齢化を踏まえた政府の施策がない現状で県市が連携して方策を検討し、県有施設を無償で貸し出すことを決めた。

 県中国帰国者の会(石川千代会長)によると、同市桟橋通6丁目の施設。2階建ての元教職員住宅の一部で、2017年から空き家となっており、県は19年度当初予算案に施設の修繕費25万円を計上した。修繕後は同市を通じて元孤児らの団体に貸し出す。

 6日の県議会定例会で尾﨑正直知事は開設予定を報告し、「今後も(当事者から)よく意見を聞き、何ができるか検討したい」と答弁。12日の同市議会でも、執行部が「交流の場での活動を支援していく」と述べた。

 送迎車やスタッフの配置は「財源となる国の補助制度がない」(市福祉管理課)として見送られたが、元孤児らは「やっと第一歩が踏み出せた」と歓迎した。

 帰国者問題に詳しい神戸大学大学院の浅野慎一教授は政府の支援策不足を指摘しつつ、「高知の帰国者の主体性と行動力はすごい。行政も受け止めようとしている。高齢化がますます進む中、孤児の2世が送迎役などとして関わるような仕組みができれば、すごくいい」と評価。関西周辺ではこうした取り組みは例がないという。

 石川会長は「時間がかかったが、私たちの問題を重視してくれた知事や議員に感謝したい。地域の人との交流も含め、引きこもりを防ぐような活動の在り方を考えていく」と話した。

 厚労省の中国残留邦人等支援給付を受けている県内の元孤児や配偶者は68人。平均年齢は77歳を超えている。(八田大輔)

カテゴリー: 社会高知中央

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