2019.03.12 08:00

【女性の活躍】能力生かす環境整備急げ

 安倍政権は「女性の活躍推進」を掲げる。労働力不足に伴い、人材の多様性を確保する観点もあるという。しかし、行政や政界という足元の歩みがおぼつかないようだ。
 都道府県庁の女性管理職の登用は昨年4月現在、部局長・次長級で6・4%。課長級以上で見ても1割未満の9・7%にとどまっていることが内閣府の調査で分かった。
 国家公務員はさらに遅れている。本省の部局長級は3・9%、課室長級も4・9%にすぎない。
 厚生労働省の2017年の調査では、企業の女性管理職の割合は14%余りだった。政府が掲げる「20年までに指導的地位に占める女性割合を3割にする」という目標には、公務職場の方がほど遠いことになる。
 都道府県庁では女性の採用自体は増え、4割を超える自治体もある。内閣府は「今は幹部候補を育成する過渡期」とする。
 ただし、女性の就業率を折れ線グラフにすると、日本は30、40代で出産・育児による離職が多く、M字カーブを描く現実がある。家事や介護の負担も女性に偏る。女性が働き続けることが容易ではない社会の土壌から考えなければならないのは、官民を問うまい。
 長く課題であり続ける待機児童の解消や長時間労働の是正をはじめ、仕事と育児の両立への支援が急がれるのは言うまでもない。
 根強い性別役割分担意識の是正も進めるべきだろう。17年度の育児休業の取得率は女性が8割を超える一方、男性は上昇傾向とはいえ5%余りにとどまる。女性管理職の割合が4割近いスウェーデンでは90%を超えている。
 国会、地方議会ともに女性議員の割合が10%台前半にとどまる政界でも、掛け声に実行が伴わない。
 昨年5月には、「政治分野の男女共同参画推進法」が議員立法で成立した。国会や地方議会の女性議員を増やすため、選挙の候補者数をできる限り男女均等にするよう政党に促している。
 ところが、法が成立して初の大型国政選挙となる夏の参院選に向け、自民、公明両党は女性候補擁立の数値目標の設定を見送った。男性の現職が多く、対応が困難という。
 連立与党が早々に法が定める努力義務を放棄するようでは、安倍政権が掲げる「女性の活躍推進」は本気なのかが疑われよう。
 法の成立時、日本維新の会は目標自体を疑問視し、男女に関係のない能力主義を強調している。ただ、その前に、まず女性が能力を発揮できる環境の整備が進むべきだろう。公務職場と問題の根は同じである。
 世界130カ国以上の国会は、候補者や議席に占める女性の割合を一定以上にする「クオータ制」を導入している。事態の打開には、国内での真剣な検討も必要ではないか。
 世界経済フォーラムの18年版「男女格差報告」でも、日本は149カ国中110位に沈んだ。率先して範を示すべき官界、政界の努力を求める。
カテゴリー: 社説


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