2019.03.06 08:00

【兼業条例】国も踏み込んだ検討を

 議員のなり手不足が深刻化する中で、地方自治とどう向き合っていくか。小さな村が続ける模索と問題提起を重く受け止めたい。
 大川村議会で、議員の兼業規制に該当しない法人などを明確化する条例が成立した。村民が立候補しやすい環境を整える狙いがあり、4月の村議選から適用する。
 地方自治法は、自治体と請負関係にある団体の役員らと議員の兼業を禁じている。しかし何が請負に当たるかには解釈の余地があり、立候補の障壁になってきたとされる。
 条例は、村から補助金を受けたり、指定管理者として公の施設を管理したりする五つのケースを挙げ、請負には該当しないとした。
 また、請負金額が業務の主要部分を占めていても、公正な議員活動を損なう恐れが認められない法人も兼業は可能とした。そうした法人名を村長が毎年度公表するという。
 村議会は請負金額が50%を超える法人などについても兼業規制の「緩和」を検討した。だが地方自治法の壁は分厚く、「明確化」で一区切りをつけた形になった。
 今回は法の壁にはね返されたとはいえ、村議会が一石を投じた兼業禁止規定には、全国一律の尺度が現実的かどうか考える余地があろう。
 高齢化率が高い地域は現役世代の数も限られる。自治体と関係がないという就労の場も少ないだろう。議員が公正さに疑問を持たれない形は当然として、過疎地の実情に合わせた制度は考えられないか。
 村長らは「400人の村と大都市が同じ地方自治法の下で運営できるのか」と主張。法改正への取り組みに言及しているのはうなずける。
 法を超える条例は作れない以上、国が強い問題意識を持つ必要がある。しかし、大川村が「村総会」の研究を表明して以降、国は能動的に動いてきたとは言えまい。
 村と高知県は一昨年12月、総務相に兼業規定の明確化や緩和を提言したが、回答はなかった。村総会は当時の総務省幹部が「気が進まない」と否定。同省の有識者研究会が示した地方議会改革案も「実情が分かっていない」との声が広がった。
 2015年の統一地方選では、人口千人未満の議会で約65%が無投票になった。議員のなり手不足は全国的に深刻の度を増す。国もより踏み込んで検討する姿勢が求められはしないか。
 むろん、議員のなり手不足の原因は過疎化や高齢化のみではない。行政の徹底的な情報公開や住民との対話など、議会への無関心を打ち消す努力は自治体側にも必要だ。
 大川村ではなり手確保への環境整備は前進したが、4月の村議選で立候補者が確保できるかはまだ不透明だという。また、条例を運用するうちに公正性などで議論が生じることもあるかもしれない。
 ただ、人口減時代の意義ある模索に変わりはない。その取り組みを契機に、自治の在り方への関心をさらに高めたい。
カテゴリー: 社説


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