2019.03.02 08:00

【学校にスマホ】結論急がず環境整備を

 スマートフォンを学校で有効活用できないか。文部科学省が、携帯電話やスマホの学校への持ち込みを原則禁じた通知の見直しを検討している。災害時の緊急連絡手段などの利用が念頭にあるようだ。
 児童生徒のスマホ所有が急速に広がっている。家族や友人との連絡やコミュニケーションツールとして欠かせなくなってきている。学校現場でもタブレット端末などを使った学習方法が導入されたりしている。
 そうした普及に伴い、子どもたちの過度の使用が問題になり、学業や生活、健康への弊害が深刻化している。その一方で、子どもたちの使用を一律に規制するのは、情報化社会の要請にそぐわなくなってきている面も否めない。
 スマホ解禁で想定される課題を十分検討した上で、仮に容認するならば、学校での節度を守り、適正に使うためのルールや環境整備の議論を深めるべきだ。授業を充実させ、安全などを向上させる効果が期待できなければ意味がない。
 内閣府の2017年度調査で、携帯やスマホを持っている小学生は約55%、中学生は65%を超え、高校生では約97%にも上る。子どもたちへの普及は拡大傾向が続き、スマホの利用を前提にした生活形態が定着してきている。
 一方、スマホでもつながるインターネットのゲームなどにのめり込んだり、架空請求などの犯罪被害に巻き込まれたりする子どもが増えている。病的なネット依存が疑われる中高生が急増し、推計で93万人、実に7人に1人に上るという、耳を疑うような調査もある。
 文科省は09年、小中学校へのスマホなどの持ち込みを原則禁止するよう通知し、高校にも制限措置を求めた。それ以降も、スマホ依存などを助長しかねないという懸念が根強く残りながらも、社会インフラとしての有用性を無視できないと見通したのだろう。
 大阪府は災害時の緊急連絡用として、19年度から公立小中でスマホの持ち込みを認める。昨年の府北部地震で、子どもの安否確認に手間取った保護者の要望を踏まえた危機対応の一環という。同様の措置は各地に広がる可能性がある。
 スマホなどの持ち込みをはなから排除するのではなく、実際の授業に取り入れる事例も出始めている。クラスの生徒が一人一人意見を発表するのではなく、それぞれのスマホからネットを通し一斉に出し合い、議論の広がりや効率化を図るといった活用だ。
 情報通信機器を学校現場で有効に使おうとする流れは今後も強まるだろう。だが、子どもたちのけじめのない乱用や、トラブル被害の危険性を増幅させるような持ち込みになってはならない。家庭の都合で、スマホを持っていない子どもへの手だても課題になる。
 結論を急がず、子どもや保護者、学校の意見を十分に聞き取り、導入の可否を丁寧に探ってほしい。

カテゴリー: 社説


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