2019.02.26 08:00

【沖縄「基地ノー」】政府は米国と仕切り直せ

 「基地ノー」を貫き、国の強権には屈しない。沖縄県民は揺るぎない意思を改めて示した。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設する計画の是非を問うた沖縄の県民投票は「反対」が7割を超えた。投票条例が有効とする投票資格者の4分の1も大きく上回った。
 沖縄の基地問題は、民主主義や国と地方の関係の在りようを問うてきた。安倍首相は「県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」と言うのなら、県民に誠実に向き合い直し、その言葉にふさわしい対応を取らなければならない。
 辺野古移設に限った初の県民投票は、市民グループが有権者の署名を集め、県に直接請求して実現した。安倍政権に近いとされる5市が不参加を表明したため、当初の賛否の選択肢に「どちらでもない」を加えて3択にしたことで、県全域の投票にこぎ着けた経緯がある。
 政権与党の自民党は反対派を勢いづかせまいと、静観を決め込み、投票率の低下を狙った。それでも、投票率は50%を超え、「どちらでもない」は1割に満たなかった。県民の側ではなく、政権に沿おうとした思惑を県民は退けた。
 凄惨(せいさん)を極めた地上戦が繰り広げられ、傷ついた島に在日米軍専用施設の7割が集中する。米軍機の事故は後を絶たず、県民の尊厳を踏みにじる米軍関係者の凶悪犯罪も相次ぐ。県民は繰り返し「基地は要らない」と訴えてきた。
 過去2回の県知事選でも基地反対の意思を明確に示した。その上になお、県民投票にまで踏み切らなければならなかった。今回の県民投票で半数近くの有権者が棄権したのもまた事実だ。国家権力が地方の民意をないがしろにし、住民を分断させてきた。その責任は重い。
 首相は県民投票結果を受けてもなお「移設をこれ以上、先送りはできない」と強硬な方針を変えていない。民主主義の国で、民意を排除するような強権的な振る舞いを容認するわけにはいかない。
 政権側は玉城知事との会談に再び応じる構えを見せはする。だが、これまでも面談を骨抜きにしながら、埋め立てを強行してきた。住民に無力感を植え付けるかのように、既成事実化を図ってきたのだ。見せかけの対話は許されない。
 埋め立て予定海域の軟弱地盤の改良のため、約7万7千本もの杭(くい)を海底深く打ち込まなければならない工事計画が発覚した。辺野古は適地なのか、という根本的な疑問が浮かぶ。県民投票の結果と合わせ、政府は米国と基地を巡る議論を仕切り直すべき時だ。
 米国の日系4世の青年が辺野古埋め立ての一時停止を求める署名を米政府に提出し、タレントのローラさんら日本の著名人たちも賛同の意を公表した。沖縄の基地の苦悩を共有し、解決の道を共に探り出していこうという呼び掛けだ。その問いは本土にこそ向けられている。
カテゴリー: 社説

ページトップへ