2019.02.23 08:00

【辺野古軟弱地盤】工事を止め協議やり直せ

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡るあすの県民投票を前に、埋め立て予定海域の軟弱地盤の問題が大きく注目されている。
 政府が、地盤改良工事のために約7万7千本もの砂の杭(くい)を海底に打ち込む計画であることが分かった。軟弱層は最も深い場所で水深約30メートルの海底下約60メートルに及ぶという。
 専門家は世界的にも施工実績がない深さだと指摘する。大がかりな工事になれば、工期の長期化や経費の増大が避けられず、周辺海域の環境汚染も心配される。
 これまでの政府の説明と異なる上、移設が本当に普天間の「一日も早い返還」につながるのかも疑われよう。
 改めて政府の沖縄への姿勢が問われる。政府は直ちに工事を止め、最初から協議をやり直すべきだ。県民投票で民意が示されれば、なおさらである。
 問題の軟弱地盤は、埋め立て工事がまだ始まっていない予定海域東側の海底にある。専門家が以前から、地盤の特性を「マヨネーズのよう」だと問題視していた。
 沖縄県も影響の大きさを指摘してきたが、政府は事実上それを無視し昨年12月、予定海域南側の埋め立てを開始した。東側の大がかりな地盤改良工事の必要性を認めたのは先月のことだ。
 辺野古沖の滑走路整備などについて政府はこれまで、事業費3500億円以上、工期5年としてきた。地盤改良工事によって大幅な見直しが避けられないが、政府は明確にしていない。
 これに対し沖縄県は事業費は最大2兆5500億円、工期は13年になると独自試算している。衝撃的な数字といってよい。巨額の国費が投入される国民全体の問題だ。
 7万7千本の杭を打つために追加で必要になる砂の量は約650万立方メートルで、県内の年間砂利採取量の数年分に当たるという。これほどの量を確保するには県内から調達するにしても県外から持ち込むにしても、あまりに環境リスクが大きい。
 施工実績がない深さであることも課題だ。十分な改良ができなければ軍用機用の滑走路として耐えられるのか疑わしい。基地移設の根本的な問題になりかねない。
 政府は「一般的な工法で、相応の期間で改良工事を実施することは可能だ」(菅官房長官)とし、今春にも設計変更を県に申請する構えを見せている。工事をやめることなく重大な変更をするやり方に玉城知事らが猛反発するのは当然だ。
 埋め立てを急ぎ既成事実化させる狙いだと批判されても仕方がない。その姿勢は、菅氏が県民投票の結果にかかわらず工事を進める考えを示したことにも表れていよう。
 政府はまずは工事を中止し、新たな試算や工法をきちんと示すことだ。環境アセスメントのやり直しも求められる。その上で改めて県と協議し直すべきである。

カテゴリー: 社説

ページトップへ