2019.02.04 14:38

助けて!わんにゃん 高知の動物愛護を追う(44)川崎市愛護センター

職員のそばで猫がすごす現在の川崎市動物愛護センター。生活音や電話音、話し声にもならしている(同市高津区)
職員のそばで猫がすごす現在の川崎市動物愛護センター。生活音や電話音、話し声にもならしている(同市高津区)
12日にオープンする新愛護センター「アニマモール かわさき」(同市中原区)
12日にオープンする新愛護センター「アニマモール かわさき」(同市中原区)
手厚い態勢 猫78匹も
 昨秋、神奈川県の川崎市動物愛護センターへ向かった。なぜかというと、その4カ月前、保護犬講演会で来高した俳優の浅田美代子さんに「お手本の施設」を尋ねると、川崎市を教えてくれたのだ。

 「動物が職員さんと一緒の部屋にいるんです。そばにいるから性格が分かるでしょ。譲渡の時にもきちんと説明できる。すごくいい職員さんばかりです」

 行ってみると四国とは別世界だった。まず、住宅街のど真ん中。社宅やアパートと隣接していた。苦情はないのか。須崎聰所長(獣医師)に聞くと、「犬は屋内で見ているから大丈夫です」。150万人の大都会だから野良犬はいない。飼い主の事情で引き取った高齢犬が多いという。

 殺処分数も極端に少なかった=表参照。4年連続で犬の殺処分ゼロもすごいが、猫の20匹未満も信じがたい。訪ねた日、収容中の猫は78匹もおり、8割が子猫。犬はわずか14匹だ。スタッフの陣容も手厚く、公務員の正職員が14人(うち獣医師11人)、非常勤の動物看護師も4人。さらに、委託業者が動物舎の清掃や給餌していた。

 高知の県中央小動物管理センターは、運営を工務店に全面委託。職員はわずか7、8人で獣医師ゼロ。手の掛かる犬三十数匹を常時抱え、猫へ手が回らないのとは対照的だった。

 獣医師の多さに驚いていると須崎所長は、「以前は4、5人だったんですが、今はかなり手厚いです。1匹ずつにカルテを作って、注意事項の申し送りもしています」。動物愛護管理法の改正などで現業職との入れ替えが進んだそうだ。

 獣医師が増えれば信頼も増す。獣医師会との連携も深まり、動物愛護団体、個人ボランティアの協力の輪も広がった。乳飲み猫のミルクボラや、犬の散歩ボラも誕生。散歩は朝昼晩と3回もしていた。もらい主のさまざまな生活事情に対応するためだという。

 教材を作って小学校や保育園への出前授業もしており、奈良県の愛護施設のノウハウも取り入れて充実を図っていた。「彼らが大人になった時、ここへ来る動物の数が減るように力を入れていきたいなと」

 建物は1974年製で、高知より7年古い。延べ床面積も約600平方メートルで高知より少し広いだけ。だが、浅田さんの言う通りだった。2階の事務所内だけでなく、廊下も指導室も手術室内も猫、猫、猫。1階に犬舎があるが、昼間は犬を2階の事務所に上げて人なれを図っていた。他にもいろんな配慮があった。

 須崎所長は隅々まで案内してくれた後、言った。「隠し事が一番いけません。信頼関係がなくなってしまう。皆さんにすべてを見ていただき、受け入れてもらうことが重要です」

 四国の取材は心がすさんだが、ここは聞くほどに和んだ。やはり「人」だ。

 実は川崎市は2月12日から新センターへ移る。現在地より市の中心部に近く、広さも4倍弱で、日曜も開く。建設費は10億2千万円(市有地)だ。須崎所長は言う。「迷惑施設の概念を脱して、市民の交流の場、遊び場的感じにしたいですね。だから、施設を積極的に開放していきたいなと」

   ◇   ◇

 高知も3年後、新センターができる予定だ。お手本を探して四国の外に出た。(編集委員・掛水雅彦)

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カテゴリー: 社会助けて!わんにゃん社会


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