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2019.01.23 17:17

「辞めたいけど・・・」27歳 高知の会社員アイドル 働く本音

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平日19時のイオンモール。専門店街の一角に組まれたステージに、揃いの衣装を身につけた女の子たちが音楽とともに登場すると、ファンらが熱い声援を送った。通りすがりの買い物客らも、なんとなく足をとめる。


ファンによると「抜群のテンポのよさ」が魅力という、高知発のアイドルグループ「りりこち」のステージ。イベントが始まる2時間も前から待つファンもいる。3年前に妻を亡くしたという四国中央市の男性(67)は、愛媛での公演を機にファンになった。以来仕事の合間をぬって、高知まで応援にかけつけている。「愛する存在がほしいのかもしれんね」


夫婦に子どもはおらず、体が弱かった7歳年下の妻を失った今は一人暮らし。寂しさにはまだ慣れない。「イベントに来ると元気になる。ひとりで家にいても仕方ないもん、生きる希望だよ」


県内外のファンを惹きつけ、通りすがりの人もいつのまにかステージに引き込まれる。その場にいる人を魅了する、アイドルとしての技術が光る。


そんなグループの中心となっているのが、RINさん。数ヶ月で辞めても珍しくないアイドルの世界で、キャリア8年目。今年28歳になる。公式プロフィールの趣味欄には「お酒、居酒屋めぐり」の文字。大人のアイドルとして活躍するほか、タレント、声優、司会業などマルチに活躍している。


実はRINさんはアイドルのなかでも珍しい「会社員アイドル」。東京・大阪・高知に事務所をもつ芸能プロダクションの社員であり、高知事務所の代表も務める。経理や事務、イベント時のステージ設営、メンバーのマネジメント、ドライバーまでこなす中にアイドル業もあるという位置づけだ。


さらにもうひとつの肩書きが、声優スクールの代表講師。このスクールは立ち上げからRINさんが中心となって展開してきたもので、今では関東・中四国9県に拠点を持つ規模に。RINさんはテキストの作成や指導を行い、経営面でも中心的な存在となっている。

アイドルだけでなく、会社員、講師、経営者という異色のキャリアをもつRINさんの仕事への思いを聞いてきた。


高知出身のRINさんは高校卒業後、一般企業に就職。休日には中学生のころからの趣味だったコスプレやアニメのイベントを楽しんだ。ある時、イベント会場で「高知でアイドルグループを作ろうと思うんだけど、一緒にやらない?」と唐突に誘われる。現在所属する芸能プロダクションの社長だった。


高知でアイドル?と半信半疑だったが、夢を語る社長の情熱に惹かれ、声優アイドルグル-プの一員に。1年ほど仕事と両立した後、アイドルに専念したいと社長に相談すると「じゃあうちの社員になれば?」と予想外の言葉。以来、芸能プロの社員として、裏方の仕事から声優スクールの立ち上げまでこなしながら、アイドルを続けている。

最初に所属したアイドルグループは3~5人のメンバーだったが、入れ替わりが激しく、メンバーとして出会った女の子は3年で100人以上にもなる。グループの解散や、半年間のアイドル休業を経て、高知で活動していた「りりこち」に加入(異動)。1年で11人が辞めるなど、相変わらず変化はめまぐるしかったが、現在は10代のメンバー2人とともに、活動を続けている。


「辞めたいなぁーって四六時中、思ってますけど」と笑う。体力的にも厳しいアイドルの仕事。自分が退いて、後輩にポストを譲りたい気持ちもある。

会社員アイドルゆえの悩みもある。プレイヤーとしての思いと、スタッフ・経営者としての思いが両立しない。メンバーの配置、曲の売り出し方、何を考えるにしても「いつも答えが2つあって、正解がみえない」状況が苦しい。

また、自分の仕事に対して「どっちも中途半端」という後ろめたさも抱えている。「アイドルかマネジメント、どちらかだけに専念したらもっと質をあげられるのになぁって」
プロ意識が高いRINさんだからこそ、このくらいでいいや、と割り切れない。

どちらかを選ぶとしたら?と聞くと、「アイドルは辞めても、会社は絶対辞めない!」と笑顔で即答。意外なまでに迷いのない答えに驚いていると、「いまの会社でずっと働きたい。アニメ好きだった普通の女の子を見つけて、育ててくれたから」


声優講師や芸能プロの経営者として独立してもバリバリ活躍できそうなRINさんだが、「いま固定給ですし、お金稼ごうと思ったら独立したほうがいいのかも」と笑いつつ、「でもこの会社がいいな」と、答えはブレない。

アイドルとして、まだまだ背負うものもある。ファンの姿をみると、まだもう少し、という気持ちにもなる。それでも頭の中ではすでに「引き際」の時期をイメージしているという。アイドルとして異色のキャリアを積んできたRINさん。「元アイドル」としての活躍も楽しみだ。

RINさん
twitter: https://twitter.com/rin_kochi
LINEブログ: https://lineblog.me/rin_rerekochi/

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