2019.01.20 08:44

人口35万人でW杯 アイスランドサッカー「才能見逃さない」高知市で指導者養成担当者が講演

「サッカー選手を育成するには、よりよい指導者をつけることがとても重要」と話すビルさん(高知市内)
「サッカー選手を育成するには、よりよい指導者をつけることがとても重要」と話すビルさん(高知市内)
小規模の強み生かす
 2018年のワールドカップ(W杯)ロシア大会に初出場したアイスランド。同国サッカー協会で指導者養成を担当するグンナーソン・アルナール・ビルさんがこのほど、高知市で行われたフットボールカンファレンスで取り組みを報告した。要旨は次の通り。(井上真一)
 
 アイスランドのサッカー協会(FA)は小さいです。人数も少ない。代表のスタッフは、16年のユーロ選手権に初出場するまで、フルタイムのコーチはいませんでしたから。 
 
手厚い行政支援
 国の人口は35万人足らず。1番人気のスポーツはサッカーです。協会の登録選手は2万5571人で国内にプロリーグはなく、クラブはすべてアマチュア。75人が海外でプレーをしています。
 
 かつては人口が少ないことを言い訳にしていました。「人がいないから、ワールドカップに出られなくてもしょうがない」と。でも今は違います。小さいからこそできることもある。
 
 組織化が簡単であることもそうです。例えば、国内大会のルールでは、U―10は5人対5人、U―12は8対8、U―13から上で11対11としています。その中で私たちが気を付けているのは、常に試合が拮抗(きっこう)するよう、同じレベルのチームをマッチングすること。飛び抜けた選手は飛び級をしてでも、同等の技量のチームに入れます。
 
 アイスランドでは、学校でサッカーを教えることはありません。すべて地域のクラブが基本。サッカーだけでなく、体操やハンドボールなど五つ、六つの競技を教わります。1週間で2競技をやることを求められるので、日によって何をやるかは変わります。
 
 このクラブには、例えば12歳だと年間6万5千円を払うのですが、地方自治体が65%(約4万円)を補助してくれます。行政支援が手厚い。子どものころから運動をして、栄養面にも気を使っていれば、将来そんなには病院に行かない=結果的に医療費が抑えられる、という考え方からです。
 
135のミニピッチ
 アイスランドが大事にしていることに「平等性」があります。
 
 例えば男女間では、練習の量、設備から、ライセンスを持ったコーチの数まで同じです。もし男子の練習が週4日で女子が3日だったら、「平等じゃない」って新聞の1面に載りますね。ただ、ライセンスだけでは指導の質までは保証されない。良いコーチが男子に偏ってしまうのが今の課題です。
 
 施設も地方自治体が建ててくれます。私が子どものころには冬はサッカーはできませんでした。それが00年からは年中サッカーができます。フルサイズの屋内施設が7面できたのです。温水を使ってピッチを温めます。アイスランドに住んでいるからといって、冬にサッカーができないわけではなくなったのです。
 
 そして、ほとんどの学校に、芝のミニピッチがあります。135の学校の周りに135のミニピッチがあるのです。ある3千人規模の町のミニピッチは天然芝で、1800人が入る観客席まであります。体育館、プールもあります。町によって規模は違いますが、全ての学校にこういった環境があるのです。

600人の有資格者
 現在600人の指導者が活動しており、その全てがライセンスを持っています。UEFA(欧州サッカー協会)のB級が70%、A級が30%。これは欧州の中でも(上級者の割合が)非常に高い数字です。
 
 フルタイムの指導者は5%だけですが、ボランティアはいません。みんないくばくかの報酬を得ています。なので、全ての子どもたちはサッカーを始めるその日から、有資格者のトレーニングを受けられます。そうすることでサッカーを好きになってもらうのです。
 
 代表チームは、選手が少ないですから、システムに合わせて人を選ぶ余裕はない。しかし、少ないからこその強みもあります。われわれはU―13からスカウティングを始め、全プレーヤーの20%を選抜することができます。才能を見逃すことはありません。
 
 そうやって、18年のW杯に初出場できました。しかし、連続出場に向けて、私たちは間違いなく安心していてはいけない立場です。12~19歳の個人の育成プログラムもない状態で、UEFAの手助けももらいながら、選手を育てていきたいと思っています。
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カテゴリー: スポーツ

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