2018.12.29 08:00

【2018回顧(上)】民主主義の根幹揺らいだ

 民意が軽視され、国会がないがしろにされた。民主主義の根幹が揺らいだ1年ではなかったか。
 安倍政権は、経済や外交などの成果より先に問われるべきものがあろう。主権者である国民、あるいは国民の代表で構成する国会と向き合う誠実さ、謙虚さである。
 昨年来の学校法人「森友学園」への国有地売却と、「加計学園」の獣医学部新設を巡る疑惑は、今年も解明が進まなかった。
 疑惑の核心は、安倍首相や昭恵首相夫人の関与や官僚の忖度(そんたく)で行政がゆがめられたかどうかだ。しかし追及を強弁でかわし、真相の究明に消極的な首相の姿勢もあり、うやむやのままになっている。
 首相が連続3選を果たした9月の自民党総裁選を受けた世論調査では、これまでの首相の説明に「納得していない」とする回答が76・8%に上っている。
 森友問題で、財務省は決裁文書改ざんや交渉記録の廃棄、「虚偽答弁」を問われた。加計問題では、元首相秘書官が記憶にないとした愛媛県職員らとの面会について、国会答弁を覆す文書を県が公表した。
 いずれも国会の権威をおとしめる行為である。全体の奉仕者である官僚が国民に顔を向けず、政権に不都合な事実をひた隠す。1強政治が生み出した弊害だろう。
 政府が国会で「ない」とした文書は、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報問題でも次々に出てきた。
 国会の審議自体も惨状といえるほどの劣化を示した。
 離合集散を繰り返し、存在の軽さが否めない野党にも責任の一端はあろう。だが、説明と熟議を尽くさず、数の力で採決の強行を繰り返す政権与党のおごりこそ改めてもらわなければならない。
 通常国会ではギャンブル依存症対策に懸念を残したままカジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)整備法や、長時間労働を助長しかねない働き方改革関連法が成立した。
 臨時国会で審議された改正入管難民法では、政府は野党の多くの質問に「検討中」と答え、法の成立後に政省令で定める形をとった。行政の裁量に白紙委任を求めるような手法は、国会の軽視も甚だしい。
 問答無用ともいえる安倍政権の強引な手法は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題が象徴している。
 9月の知事選では、新基地建設反対を訴えた玉城デニー氏が当選。2014年に続いて沖縄県民は「辺野古ノー」の民意を示した。ところが政権は聞く耳を持たず、年末になって土砂投入を始めた。
 民意が届かない政治とは何か。国と地方の関係はどうあるべきか。沖縄は問い掛けている。
 「1強」は、第2次安倍政権が発足して以降の衆参両院選挙で私たち国民が現出させた政治の姿である。一方で、私たちは常に、民主主義とは何かを真剣に考える努力を惜しむべきではない。

カテゴリー: 社説


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