2018.12.26 08:00

【レーダー照射】日韓でまず冷静な対話を

 海上自衛隊機が日本海で韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射されたことが分かった。防衛省は韓国に強く抗議している。
 照射は、ミサイル攻撃などの前に標的をレーダーで固定し、「ロックオン」状態にすることを意味する。照射だけで軍事衝突を招く恐れがある極めて危険な行為だ。
 韓国国防省は同国メディアに、遭難した北朝鮮船の捜索でレーダーを使っていたと説明。意図的な照射ではないと強調している。
 それどころか海自機が駆逐艦上空に向かって飛行してきたと主張し、日本側の抗議に「行き過ぎた反応」と不快感を示している。主張は食い違い、双方譲らない状況だ。
 安倍政権と韓国の文在寅(ムンジェイン)政権はこのところ、従軍慰安婦問題や元徴用工訴訟などを巡ってぎくしゃくしている。このままでは新たな火種に発展しかねない。
 韓国側の説明は理解に苦しむ点もあるが、まずは双方が冷静になるべきだ。事実関係や再発防止策を丁寧に話し合うことが求められる。
 防衛省の発表では、照射は石川県・能登半島沖の日本の排他的経済水域内で起きた。
 海自のP1哨戒機が飛行中、対空ミサイルを搭載した韓国の駆逐艦から照射された。無線で意図を尋ねたが、応答がなかったという。
 韓国国防省は「日本側に脅威を感じさせる行動は一切なかった」と説明。無線での問い合わせに応じなかったのも「通信が微弱」だったなどと釈明している。
 だが、防衛省は「一定時間継続して複数回」照射されたとしており、捜索活動中の偶発的出来事では筋が通らない。無線での問い合わせも、三つの周波数を使い、遠距離でもなかったと反論している。
 日韓は歴史認識などの懸案を抱えるが、軍事的には共に米国と同盟を結ぶ「身内」といってよい。経済的にも深いつながりを持つ。今回のような事件は残念でならない。
 照射が仮に意図的なものではなかったとしても、韓国海軍は日本海であまりに緊張感を欠いた行動を取っていたと言わざるを得ない。相手が北朝鮮やロシアだったら、最悪の事態もあり得ただろう。
 双方が国民世論を意識してか、やや感情的になっているようにも見受けられる。日本の政府与党からも、厳しい発言が相次いでいる。
 背景には、慰安婦問題の日韓合意に基づく財団を韓国が解散したことや、元徴用工訴訟で韓国最高裁が日本企業に損害賠償を命じたことなどがあろう。だが、今回の件を一緒にして論じては、防衛上の友好関係まで損ないかねない。
 米中の貿易摩擦の影響が気になる中、日中関係は改善しつつある。対北朝鮮政策では周辺国の連携が一層必要になっている。そんな局面で日韓が冷え込むことは避けたい。
 日韓外務省の局長級協議が行われたが、歩み寄りに向け、さらなる努力が欠かせない。
カテゴリー: 社説


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