2018.12.26 08:44

介護医療院が県内に誕生 ケアに加え生活空間重視

間仕切りを新たに設置した多床室(黒潮町出口の介護医療院「ことぶき」)
間仕切りを新たに設置した多床室(黒潮町出口の介護医療院「ことぶき」)
黒潮町ほか2カ所 療養病床など転換
 医療と介護が必要な高齢者の長期療養、生活施設として4月に新たに制度化された「介護医療院」が、高知県内に3カ所誕生した。医療的なケアやみとりなどに対応し、生活空間も重視した施設。国は、長期入院の受け皿となっている病院の「療養病床」を介護医療院に転換するよう促している。

 居室からは青い太平洋がよく見える。「あと一回やってみましょうか」。職員に促され、利用者の女性がベッド脇で脚のリハビリに励んでいた。

 幡多郡黒潮町出口の「ことぶき」は、12月上旬に全80床を「介護療養型老人保健施設」から介護医療院に転換した。主に要介護度3~5の高齢者が入居している。

 転換に際し、1人当たりのスペースを確保するため、4人部屋の一部を3人部屋に移行。ベッドから目線が合わないよう、間仕切りを設置した。

 施設を運営する医療法人の野田浩介理事長は「ついのすみかとして生活できるので、利用者の家族も安心できる。地域との交流にもさらに力を入れたい」と話す。

 「ことぶき」のほか、県内では高知市の「高知総合リハビリテーション病院」と、四万十市の介護療養型老健「なかむら」が、計約110床を介護医療院に転換した。

   ■  ■

 介護医療院は、昨年の介護保険法改正で創設された。重度の要介護者が生活する特別養護老人ホーム(特養)や、リハビリなどで在宅復帰を目指す介護老人保健施設と同じく、介護保険で利用できる。

 医師や看護師が常駐し、医療と介護のサービスを長期的に提供するのが特徴。たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアやみとりにも対応する。

 生活の場としての機能を重視し、プライバシーなどに配慮。ベッド間は家具などで仕切る▽1人当たりの床面積は8平方メートル以上▽レクリエーションルームの設置―などの基準がある。

 厚生労働省によると、今年9月末時点で介護医療院は全国に63施設約4600床が誕生。新設はゼロで、2023年度末に廃止される「介護療養病床」からの転換が約55%という。担当者は「順調に増えており、今後も転換を支援していく」と話す。

 高知県の10万人当たりの病床数は、15年時点で約2500床と全国最多。県高齢者福祉課によると、県内の介護療養病床は38施設に約1800床ある。県の調査では、およそ7割の病床が転換の意向を示しているという。

 同課の戸田京子課長は「行き場がなくなる利用者が出ないよう、転換に伴う補助制度などを医療機関に紹介し、転換を支援したい」と話している。(山本仁)


 介護医療院への転換 従来施設からの転換が見込まれるのは、介護が必要な入院患者が利用する「介護療養病床」、長期療養が必要な入院患者が利用する「医療療養病床」、医療面を強化した「介護療養型老人保健施設」の3種類。介護療養病床は2023年度末の廃止が決まっており、国は報酬加算などで介護医療院への転換を促している。医療療養病床が転換した場合のみ、運営財源が医療保険から介護保険に変わる。



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