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2018.12.21 14:37

ピアノ講師がなぜ?帯屋町にハンドメイド雑貨店 開業への思い

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高知市帯屋町1丁目に11月末オープンした、ハンドメイド雑貨店「Moderato Breeze」。店舗があるのは商店街のちょうど真ん中あたり。通りすがりの人たちが興味深そうに店内をうかがい、11時のオープン直後から店内は人で賑わった。

店に入ると両側の壁に縦6段の棚がびっしり。それぞれのブースに作家たちの「小さな店」が入っている。ブースは現在ほぼ全て埋まっており、約100人の作家らのアクセサリーや手作りお菓子、ポーチや衣料品などのハンドメイド作品が並ぶ。

店舗オーナーの松居さんは高知出身。徳島の音大卒業後はピアノ講師としてキャリアをスタートした。将来は独立し、「ホームパーティーのような」コンサートが開ける場をつくるのが夢だった。

夢の実現のため講師業のかたわら、朝は旅館のバイト、夜はパソコンを使った原稿や資料作成の請負に励み、30代なかばで高知市春野に土地を購入。一軒屋型のコンサートホール兼ピアノ教室をオープンした。

当時は「素晴らしく楽しかった」生活だったというが、2度の出産・育児が転機に。子どものケアのため夜眠れない生活が続き、「体がもたない」と一時休業。しばらく主婦として家庭に尽くしたが「子どもが保育園に行っている間だけでも何かできないだろうか」と考え、思いついたのがハンドメイド雑貨の販売だった。

もともと手先を動かして何か作るのが好きで、洋服づくりやトールペイントなどを趣味で楽しんでいた。知り合いにも声をかけ、コンサートホールを使って定期的にマルシェを開催した。

「郊外の住宅地ですけど、意外に人が来てくれて、楽しんでくれるんですよね。それが嬉しくて」 子どもの受験を期にしばらく休んでいたが、無事手をはなれ50代を迎え「今度やるならおまちで」と思い、帯屋町への出店を決めた。

まちの中心地でありながら、ブースのレンタル料は「主婦でも出せる金額」を想定して設定している。販売の委託料もとらず、売り上げは全額作家に入る。「儲かる仕組みではないんですけど」と笑う。「主婦でも、高齢の方でも、ものづくりが好きな人が作品を世にだして、それがお金になるという喜びがうまれる場にしたいなと」

実際ブースに出店している作家に話を聞くと「ものづくりはもう何十年も趣味で続けてるけど、やっぱり売れるって嬉しいですよ。お金のためだけならバイトしたほうが効率はいいけど、この喜びは味わえないですから」と言い、楽しそうに新作を並べた。また別の作家は「ネットでも販売したことがあるけど、店舗だとちゃんとお客さんに届いてるという安心感がある」と話した。

松居さんは「自分のためでもあるんですよ」と笑顔で話す。「おばあちゃんになっても、ものづくりって続けられるでしょ。そうして作ったものを町で売って、ちょっとしたお金になったら、嬉しいじゃないですか。こんな場所あったらいいなって、一番思ってるのは私なんです」

現在、お店ではクリスマスにむけた特設コーナーが登場。取材当日は、恋人へのプレゼントを選びにきた男性の姿も。世界にひとつのハンドメイド作品との出会いがきっとあるはずだ。

店舗名:Moderato Breeze
店舗住所:高知市帯屋町1-10-13(アーケード内)
電話番号:088-823-1145
公式HP:http://mbzakka.com/hpgen/HPB/entries/152.html


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