2018.12.08 08:00

【米軍機墜落】県民の安全へ強い姿勢を

 高知県の室戸岬から南南東約100キロの上空で、山口県の米海兵隊岩国基地所属の空中給油機KC130とFA18戦闘攻撃機が訓練中に接触し、海上に墜落した。搭乗員の捜索活動が続いている。
 県内や周辺海域での米軍機の墜落事故はこれで4回目である。
 1994年に大川村の早明浦ダム湖に米海軍の空母艦載機が墜落し、操縦士ら2人が死亡。99年には夜須町(現香南市)沖にFA18が墜落した。2016年12月にもFA18が高知県沖で墜落。パイロット1人が死亡している。
 今回の事故では県内の漁船1隻が周辺海域を航行していたが、被害はないと確認された。しかし、漁業者らは巻き込まれる危険と隣り合わせの状況だ。ましてや市街地に墜落すれば大惨事は免れない。
 空中給油訓練中の事故とみられ、防衛省が確認中という。そうだとすれば、視界のきかない夜間に、本県の至近距離で危険性が高い訓練が行われていたことになる。
 政府は在日米軍に対し、原因究明と再発防止の徹底、速やかな情報提供を求めている。米軍の運用改善と真摯(しんし)な対応を求め、高知県も厳しい姿勢で臨むべきだ。
 そもそも本県上空には「オレンジルート」と呼ばれる訓練経路が設けられている。土佐清水市沖約70キロには実弾射撃もできる米軍演習場「リマ海域・空域」もある。
 事故の頻度は今後、より高まる恐れがある。航空戦力を増強し続ける中国軍をにらみ、岩国基地の軍事拠点化が進んだためだ。
 在日米軍再編に伴い、今年3月までに米軍厚木基地(神奈川県)から原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機約60機が移駐し、所属機は約120機に倍増した。嘉手納基地(沖縄県)と並ぶ極東最大級の航空基地になっている。
 艦載機の発着訓練の実施空域は、これまでの房総半島沖から四国・九州沖に変更された。また、岩国基地の規模拡大を受けて16年11月、事前申請に基づいて米軍や自衛隊などが訓練できる「岩国臨時留保空域」が四国沖などに設定された。
 四国沖での訓練が増えている。状況の改善がないまま、県民の生命や財産が脅かされ続けてはたまったものではない。
 全国知事会は今年8月、日米地位協定の抜本的見直しを求める提言書を政府に提出した。背景には輸送機オスプレイの配備拡大や、日米合意による本土側の訓練拡大がある。
 その研究会資料は、米軍機事故が起きた際の調査などへの関与について、ドイツと比べて日本の権限の弱さを指摘。飛行訓練の騒音被害や、事故に対する不安などの住民負担を軽減・解消するよう地位協定の見直しが必要―とまとめている。安倍政権は真剣に向き合うべきだ。
 日本の安全に寄与すべき日米安保が県民・国民の安全を脅かす状態が続いている。政府、県ともに毅然(きぜん)とした対応を求める。

カテゴリー: 社説


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