2018.12.06 08:40

江戸川乱歩と高知の深い縁 高知県立文学館で1/14まで企画展

幅広い世代が訪れている企画展の会場(高知市の県立文学館)
幅広い世代が訪れている企画展の会場(高知市の県立文学館)
涙香作品に感動、雨村と交流
 今なお読者を魅了する推理・怪奇幻想・少年少女向け小説を残した江戸川乱歩(1894~1965年)を取り上げる企画展「江戸川乱歩の華麗なる本棚」が、高知市丸ノ内1丁目の県立文学館で開かれている。高知県と深い縁で結ばれた乱歩。その由縁や人物像を約120点の資料で浮かび上がらせる。来月14日まで。

 高知と乱歩をつなぐ人物の一人は、「巌窟王」「噫(ああ)無情」など海外作品の翻案を多く手掛けた安芸市出身の黒岩涙香。夏休みの旅行中に涙香の「幽霊塔」に出会った13歳の乱歩は、道中の記憶が全くないほど夢中で読んだという。

 2人目は「日本探偵小説の父」と呼ばれる高岡郡佐川町出身の森下雨村。1920年に探偵小説雑誌「新青年」編集長となった後、当時無名だった乱歩が投稿した「二銭銅貨」を絶賛。文壇デビューの立役者となり、生涯交流が続いた。

 雨村が42年に佐川に帰郷する際の送別会で、乱歩ら18人が贈った寄せ書きがある。乱歩がしたためた言葉は「スハこそとうなぎ防衛司令官」。釣り好きで、佐川ではうなぎ釣りに熱中していたという雨村の趣味をよく知る仲だと分かる。「乱歩のユーモアと温かさ、優しさが感じられる資料では」と福冨陽子学芸員は指摘する。

 随筆「土佐と探偵小説」(54年)で乱歩は、過去に旧友を訪ねて来高した時の印象を記述。涙香や、高知県出身の文学者で「文壇随一の西洋探偵小説通」の馬場孤蝶、そして雨村の3人は「私が探偵作家となった原動力であり、推薦者」とし、「揃(そろ)って土佐人であったことは、何かしら不思議な因縁のような感じがする」と感慨深く語っている。

 会場では小説家「乱歩」の誕生秘話や、国内外の探偵・推理小説の系譜を紹介。横溝正史や谷崎潤一郎らとの関係性もひもとく。「ポー、シャーロック・ホームズ、怪盗ルパン、怪人二十面相、名探偵コナン…と作品が脈々とつながるのが面白い」と福冨学芸員。乱歩版「幽霊塔」を少年時代に読み、ロマンスや歯車に憧れた宮崎駿が作った映画が「ルパン三世 カリオストロの城」という逸話もある。

 また、累計600万部を突破する人気シリーズで、乱歩や中島敦、太宰治といった文豪の名前を持つキャラクターが登場する漫画「文豪ストレイドッグス」(KADOKAWA)とコラボ。会場では描き下ろしキャラクターのパネルと写真撮影ができ、複製原画などを見られる。神戸市から友人と泊まりがけで来館した女性(39)は「漫画を機に作家の素顔や私生活を知りたくなった。好奇心をそそられますね」と熱心に展示を鑑賞。福冨学芸員は「ミステリーファンや若い世代、多くの人に楽しんでほしい」と話していた。(徳澄裕子)

カテゴリー: 文化・芸能高知中央


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