2018.12.04 08:00

【米中首脳会談】「休戦」でも楽観できない

 貿易の不均衡を巡って激しく対立する二大国は、頭を冷やすことができるのだろうか。
 20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせ、アルゼンチンで米中首脳が会談し、米国が来月からの追加関税発動を90日間猶予することで合意した。その間、両国は問題解決に向け協議する。
 二大国の「貿易戦争」が激化すれば世界経済を失速させ、両国にも跳ね返ることは必至だ。双方が「一時休戦」を選択したことは現実的な対応といえる。
 だが、楽観はできない。現状では解決の糸口は見えておらず、90日という期間は短い。米国は新たな合意に達しなければ、追加関税を再発動する考えだ。
 米中は世界1位と2位の経済大国であり、影響力が大きいことを再認識してもらいたい。抜本的な摩擦解消へ、冷静かつ迅速な対応を強く求める。
 トランプ米大統領は中国に対し、巨額の貿易赤字や知的財産権侵害の解消などを求めている。これまでに中国からの輸入品の約半分に当たる計2500億ドル(約28兆円)相当に追加関税を課してきた。
 中国は強く反発し、米国製品に同様の追加関税を課して応酬する状態が続いている。国際社会から批判が高まっているのは当然だ。
 それでもトランプ氏は意に介さず、来月から、2500億ドル分のうち現在税率10%の2千億ドル分を25%まで引き上げる方針を示していた。さらなる混乱が避けられない状態だった。
 首脳会談は絶妙のタイミングで開かれたといってよいだろう。国内外の世論や国内経済への影響も考慮したとみられる。
 米国側の発表では、中国は貿易不均衡是正のため、米国から農産品やエネルギー、工業製品の輸入を拡大する。知的財産権の保護や、中国に進出した外国企業が中国側合弁相手への技術移転を強要されるケースなども協議する。
 一方で、中国側の発表には、発動済みの追加関税も「撤廃する方向で協議を進める」という米国側の発表にない項目が含まれる。両国の一時休戦の狙いや協議の方向性には温度差もありそうだ。
 米中の貿易戦争は単に貿易の不均衡の問題ではあるまい。世界経済や軍事面などでの覇権争いが透ける。国際社会で米中両国に自制と協調を求めていく必要がある。
 ところが、その国際社会の結束力が気になる。G20では、採択された首脳宣言に「保護主義と闘う」との文言が入らなかった。「米国第一主義」を掲げるトランプ政権が強く反対し、削除されたという。
 多国間協調体制を推進することにこそG20の使命がある。米国に圧力をかけることも説得することもできない現状は憂慮せざるを得ない。
 米中に続く経済大国であり、両国と深い関係にある日本の役割も問われよう。

カテゴリー: 社説


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