2018.11.19 14:37

助けて!わんにゃん 高知の動物愛護を追う(31)松山市「殺処分ゼロ」

檻がすし詰め状態だった松山市保健所収容施設(同市二番町)
檻がすし詰め状態だった松山市保健所収容施設(同市二番町)
第3部 愛媛編(1) 環境 高知より劣るのに
 高知県は6年前まで、猫の殺処分率が人口比で10年連続全国ワースト1位(年間3千~6千匹)。犬も500~2800匹が殺されていた。それが2017年度は猫693匹、犬は19匹に激減した。連載第2部まで犬猫を必死に救う県内愛護活動家の姿を紹介してきたが、隣県はどうなのか。愛媛や徳島には広々とした県立の愛護センターがあるという。そして香川は来春、愛護センターを誕生させる。高知のオープンは3、4年後。かなり遅れているのではないか。そう思って春先、四国他県を訪ねると、もっと悩ましい現実が待っていた。

 まず、愛媛県。高知と違い、中核市である松山市は単独で市保健所に犬猫を収容していた。松山市以外の19市町は愛媛県動物愛護センター(松山市東川町)に収容し、運営は別々だ。それは一般的なのだが、不思議だったのは、殺処分の匹数が極端に違うことだ。犬だけ見ると2016年度、松山市保健所は「0」(11月発表の2017年度も0)。愛媛県動物愛護センターは「768」(11月発表の2017年度603)で、2016年度は都道府県別の匹数で全国ワースト2位。同じ県内の施設でありながら正反対だったのだ。

 それにしても松山市の「殺処分ゼロ」はすごい。2014年度にゼロを実現した熊本市は、背景に職員の懸命の努力があり、本にもなっている。行政も相当頑張ったのだろうと思って訪ねると、そうでもなかった。

 松山市は人口約51万人。高知市の1・5倍だ。犬の収容場所は市中心部の倉庫のような一室。6メートル四方ほどのコンクリート張りの中に檻(おり)がすし詰め状態。その中で7匹が吠(ほ)えていた。

 驚いたのは、収容動物の世話をシルバー人材センターに委託。昼間、1人で、子猫も一緒に見ていたのだ。散歩の余裕はほとんどないという。檻の中でしたふん尿は、即座にホースで水を飛ばし排水溝へ流し込む。ちなみに土・日曜の世話は朝の2時間程度だという。

 高知県中央小動物管理センター(高知市孕東町)の環境も恵まれてないと思ったが、松山市ははるかに劣っていた。負傷犬や病気犬の治療は応急処置程度で高知と同程度。ただし、エアコンは9年前から設置。今夏、ようやくエアコンが付いた高知県よりは進んでいた。ここで犬は基本的に約2週間、子猫は数日保護(成猫は受け入れない)し、飼い主やもらい主が現れなければ、約20キロ離れた山奥の愛媛県動物愛護センターへ移送、即日殺処分されることになる。

 松山市の動物担当職員は4人(獣医師1、事務職2、臨時職1)。これに迷子犬回収などの労務職9人がおり、捕獲作業は24時間態勢。収容犬(大半は迷子犬)はWebサイトで公開し、広報には力を入れていたが、譲渡に力を入れている雰囲気はなかった。

 「これでどうして殺処分ゼロ?」と思ったが、その答えはやはり、地元愛護活動家たちの奮闘だった。松山市内には活動歴24年のすごい団体を柱に計四つの組織が譲渡仲介者として団体登録。レスキューを展開していた。(編集委員・掛水雅彦)

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カテゴリー: 社会助けて!わんにゃん社会


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