2018.10.29 10:04
高知市愛宕町の老舗食器店 閉店と再スタート､親子のバトン
【WEB限定】
創業95年、高知市の愛宕商店街で、老舗の食器店として親しまれた「陶器のさわ本」（澤本陶器株式会社、愛宕町2丁目）が10月閉店した。今後は、昨年春に高知市菜園場の複合商業施設「コレンス」内にオープンした新店舗「utsuwaS+ うつわエスプラス」（桜井町１丁目）で一般客向けの食器類の販売を行う。業務用食器類は事業所で管理しながら営業活動を行う予定だ。店舗面積をあえて縮小し、新しい町で再スタートを切る決断をした背景をたずねた。
「世の中がガラッと変わりましたね」と語るのは現社長の澤本正二郎さん（71）。移りゆく高知の町を見つめてきた一人だ。正二郎さんの父・栄一さんが切り盛りしていた昭和初期、「全国の食器屋でも最大規模の大きさ」という約200坪の現店舗には一般客用の食器から業務用まで多くの商品が並び、客で賑わった。だが昭和から平成に入り、全国チェーンの小売店や大型ショッピングモールが郊外に進出すると、商店街から客足が遠のいた。さらに近年はネットショッピングという選択肢もでてきたことで、店舗に足を運ぶ人の数は年々減っていった。
「これだけ大きな店で大量の在庫を抱えていては、管理するだけで大変。大きければいいってもんでもなくてね。売れなかった商品が増えると、いい商品も埋もれてしまう。店は小さくても、こだわりのある商品、胸をはって売れる商品をお客さんに届けたいと思った」という澤本さんは、長男で同社の専務である浩明さん(46)らと数年の構想期間を経て、昨年春に「utsuwaS+」のオープンが実現した。
「utsuwaS+」は、浩明さん夫妻が中心となって店づくりに取り組んでおり、おしゃれな内装やセンスが光る商品の買い付けなど、若い世代の心をつかむ店となっている。コレンスは若いオーナーらが経営する飲食店やサロンが集まっており、客層も若い。ターゲットとなる世代に接触できる機会が大幅に増えた。また、SNSでの情報発信にも力を入れることで、投稿をみた県外のユーザーからも問い合わせが来るようになった。「店は小さくなったが、マーケットは世界中に広がっている」と感じている。
昨年春のオープンから現在に至るまで、「utsuwaS+」の経営には正二郎さんは「ほぼノータッチ」の状態で、次世代を担う夫婦に任せている。「たまに意見を聞かれたら言いますけど、まあたいてい却下されますよ」と笑う。「経営の方針なんかで、それ違うんとちゃうかなあと思うこともありますよ。でもダメ出しするより楽しくやってほしいし、やっぱり信頼してますから。僕はええねえ、ええねえと応援するだけ」
変わる時代のニーズにこたえられる存在にステップアップしていきたい。そんな願いもこめて、「さわ本」のSにプラスをつけた「utsuwaS+ うつわエスプラス」という名前を掲げた。新しい澤本陶器の挑戦は始まったばかりだ。
店舗名：utsuwaS+ うつわエスプラス
住所：高知市桜井町1丁目4-5 コレンス1階 15号室
営業時間：11:00～19:00
休業日：木曜日
電話番号：088-861-1122
店舗URL：https://tokisawamoto.wixsite.com/utsuwa-splus
店舗名：陶器のさわ本
URL：http://tokisawamoto.wixsite.com/comfortable-life/info
「陶器のさわ本」社長の澤本正二郎さん（写真左）と、長男で専務の浩明さん
創業95年、高知市の愛宕商店街で、老舗の食器店として親しまれた「陶器のさわ本」（澤本陶器株式会社、愛宕町2丁目）が10月閉店した。今後は、昨年春に高知市菜園場の複合商業施設「コレンス」内にオープンした新店舗「utsuwaS+ うつわエスプラス」（桜井町１丁目）で一般客向けの食器類の販売を行う。業務用食器類は事業所で管理しながら営業活動を行う予定だ。店舗面積をあえて縮小し、新しい町で再スタートを切る決断をした背景をたずねた。
高知市の愛宕商店街で長年、親しまれた「陶器のさわ本」。10月閉店した
「世の中がガラッと変わりましたね」と語るのは現社長の澤本正二郎さん（71）。移りゆく高知の町を見つめてきた一人だ。正二郎さんの父・栄一さんが切り盛りしていた昭和初期、「全国の食器屋でも最大規模の大きさ」という約200坪の現店舗には一般客用の食器から業務用まで多くの商品が並び、客で賑わった。だが昭和から平成に入り、全国チェーンの小売店や大型ショッピングモールが郊外に進出すると、商店街から客足が遠のいた。さらに近年はネットショッピングという選択肢もでてきたことで、店舗に足を運ぶ人の数は年々減っていった。
「陶器のさわ本」の広い店内
「これだけ大きな店で大量の在庫を抱えていては、管理するだけで大変。大きければいいってもんでもなくてね。売れなかった商品が増えると、いい商品も埋もれてしまう。店は小さくても、こだわりのある商品、胸をはって売れる商品をお客さんに届けたいと思った」という澤本さんは、長男で同社の専務である浩明さん(46)らと数年の構想期間を経て、昨年春に「utsuwaS+」のオープンが実現した。
高知市菜園場の複合商業施設「コレンス」内の新店舗「utsuwaS+ うつわエスプラス」（桜井町１丁目）
「utsuwaS+」は、浩明さん夫妻が中心となって店づくりに取り組んでおり、おしゃれな内装やセンスが光る商品の買い付けなど、若い世代の心をつかむ店となっている。コレンスは若いオーナーらが経営する飲食店やサロンが集まっており、客層も若い。ターゲットとなる世代に接触できる機会が大幅に増えた。また、SNSでの情報発信にも力を入れることで、投稿をみた県外のユーザーからも問い合わせが来るようになった。「店は小さくなったが、マーケットは世界中に広がっている」と感じている。
「utsuwaS+」のスタイリッシュな商品と店内
昨年春のオープンから現在に至るまで、「utsuwaS+」の経営には正二郎さんは「ほぼノータッチ」の状態で、次世代を担う夫婦に任せている。「たまに意見を聞かれたら言いますけど、まあたいてい却下されますよ」と笑う。「経営の方針なんかで、それ違うんとちゃうかなあと思うこともありますよ。でもダメ出しするより楽しくやってほしいし、やっぱり信頼してますから。僕はええねえ、ええねえと応援するだけ」
変わる時代のニーズにこたえられる存在にステップアップしていきたい。そんな願いもこめて、「さわ本」のSにプラスをつけた「utsuwaS+ うつわエスプラス」という名前を掲げた。新しい澤本陶器の挑戦は始まったばかりだ。
店舗名：utsuwaS+ うつわエスプラス
住所：高知市桜井町1丁目4-5 コレンス1階 15号室
営業時間：11:00～19:00
休業日：木曜日
電話番号：088-861-1122
店舗URL：https://tokisawamoto.wixsite.com/utsuwa-splus
店舗名：陶器のさわ本
URL：http://tokisawamoto.wixsite.com/comfortable-life/info
