2018.10.03 08:36

助けて!わんにゃん お便り特集(下)愛護活動家の思い

「ニャンとかなるワンの会」の野村政弘さん(左から2人目)は、愛護団体の活動資金づくりに知恵を絞る。6月には、新電力「レジェンド電力」とタッグを組んで、電気代による支援を呼び掛けた。中央は「にゃんずハウス」の尾崎圭美さん、右隣は「エヴァーズ・リンク」の吉村義文さん(県庁記者クラブ) 
「ニャンとかなるワンの会」の野村政弘さん(左から2人目)は、愛護団体の活動資金づくりに知恵を絞る。6月には、新電力「レジェンド電力」とタッグを組んで、電気代による支援を呼び掛けた。中央は「にゃんずハウス」の尾崎圭美さん、右隣は「エヴァーズ・リンク」の吉村義文さん(県庁記者クラブ) 
 連載「助けて!わんにゃん」、お便り特集最終回は、紙面に登場した活動家の声が中心です。せっかく投稿していただいたのに、紹介できなかった方もおり申し訳ありません。なお、ご意見、ご感想以外にも、「近所で子猫が生まれている。愛護団体に連絡したい」という電話を多数いただきました。しかし、これ以上、活動家に負担をかけることは心苦しく、連絡先はお伝えしておりません。猫は現在、秋の出産シーズン中。再び多くの市民が困り、そのしわ寄せが活動家の皆さんに行くことを思うと、心が重くなります。にもかかわらず、行政の対応は消極的です。この社会問題に対し、もっと真剣に取り組んでほしいと思います。 (編集委員・掛水雅彦)


「きっかけ」を次へ 【高知市朝倉甲、獣医師、久保田裕子】
 連載第1部で紹介された犬の譲渡ボランティア(ボラ)、吉村義文さん(宿毛市)の活動を間近で見ているうちに、保護犬の魅力に取りつかれ、早くも3年がたとうとしています。

 私は、県内の保健所や小動物管理センターに収容された負傷動物を、吉村さんを通じて引き受け、治療し、元気にして新しい飼い主さんに引き継いでいます。

 保護活動の世界もキャリアがものを言うようで、3年ではまだまだ駆け出しの部類です。しかし、吉村さんのおかげでかなり深い部分を見せてもらったとも思います。

 ところが、第2部の猫編は、想像していた以上のご苦労と大変さでした。それを何年も、何十年も続けているボランティアの方たちがいるということに、とても勇気をもらいました。

 というのは、今夏、私が世話をしている動物たちの譲渡がなかなか進まず、大変もどかしく、つらい思いをしていたからです。そんな時、私の動物病院で開いた譲渡会に、たくさんのボランティアの方々が手伝いに駆け付けてくださり、少しずつですが保護動物の幸せにつながっています。

 この時、保護活動や譲渡は、一人の力では限界があり、皆で力を合わせる必要性をあらためて感じました。譲渡については、いろいろな意見がありますが、「自分が関わった子が、絶対に幸せになってほしい」との思いが全ての原動力であり、それは、今回の猫編の中で紹介された皆さんも同じでしょう。

 連載は、県民の皆さんに、殺処分や譲渡活動の様子を知っていただくきっかけになったと思います。そして、これを「きっかけ」だけで終わりにするのではなく、皆さんに、さらに理解や協力をお願いするための活動を、今後はつくっていきたいと思っています。


いつ寝ているのか【高知市朝倉丙、高知県動物愛護推進員、小川和香(55)】
 記事の中で、私が直接知っている活動家は、吉村義文さん(宿毛市)、松岡理香さん(香南市)、アリスペットクリニック(高知市)の久保田裕子先生、押部真千子さん(神戸市)ですが、皆さんいつ寝るのか、いつ食べているのかと思うくらい精力的に動かれて、本当に頭が下がります。

 心無い陰口やうわさ話を「聞いたことがある」、「疑問に思っている」という人こそ、ぜひ、譲渡会に行かれて、ご本人たちと話してみてください。お金のためでもなく、見えのためでもなく、ただ動物たちの命を救いたい、という一心で活動されています。

 この方たちが今、目の前の命を救っている間に、一刻も早く、迷子犬の飼い主捜しや猟犬管理など、「川上対策」を行政にお願いしたいです。


いつか「保護猫カフェ」 【高知市・にゃんずハウス、尾崎圭美(35)】
 連載第2部で紹介された通り、高知市中心部で青空譲渡会を開いています。日の当たらない保護猫活動を取り上げてもらって幸運に感じています。

 私に限らず、活動家の人たちは偏見や奇異の目で見られることがあり、その多くは活動内容をよく知らないために起こる誤解からです。記事を通して、少しでも保護猫活動の世界に興味を持っていただけたらと願います。

 活動家は生活リズムの全て、朝から晩まで「猫、猫、猫」です。自身が体調不良でも猫のお世話は毎日あります。そこまで猫に尽力するのは、「もし、助けが必要な猫を見捨ててしまったら心が落ち着かない」からです。見捨ててしまえば、普通の生活を送ることができ、世間からの奇異の目もないでしょう。でも、不幸な猫を放っておけないのです。

 しかし、先ほども言ったように、皆、体調不良の日があります。私も、時には心身ともにしんどくて身体が動かない時があります。もっと若い時は行き詰まると、「この活動のせいで自分は不自由だ」と思ったこともありました。でも、ある時ふと、「自分は自由だからこの活動ができるのだ」と気付き、なんとか頑張って現在に至ります。

 連載の中では触れられませんでしたが、高知市中心地に保護猫カフェを開くのが私の目標です。実は5年ほど前にも保護猫カフェを開くべく勉強したことがあります。それを実行に移そうと、ここ1年ほど頑張っているのですが、なかなかうまくいきません。

 数多くの不動産屋さんを回り、何十件も物件を断られました。やはり動物を扱うとなると難しいのです。大家さんがOKでも同じ建物内の他のテナントさんがNGということもありました。ついにOKが出た物件で話も進み、内装工事の日にちも決まっていたのに、一緒にやろうとしていた方ができなくなって、頓挫したことも…。

 私ひとりでも開業できる物件を探し直して、先日、「カフェをしてもいいよ」という話にたどり着いたのですが、今度は度重なる医療費のため資金がたまらないのが実情です。いつか多くの保護猫たちと“里親さん”を結ぶカフェのオープンを目指して、またそこを拠点に高知の猫問題の相談や情報発信ができる場所になれば、さらにいいなと思っています。

 そうした中で今回、連載で励ましの声をいただいています。主に青空譲渡会場や、活動報告の場であるフェイスブックからです。自分がやっていることに少し日が差し込んできたように思います。カフェ実現へ向けて、良い情報や知恵など、力添えいただけるとうれしいです。

活動8年の思い 【香南市・ニャンとかなるワンの会、野村政弘(42)】
 8年間動物愛護に携わってきましたが、マスコミは関心が薄い印象だったので、多大な時間と労力を割いた特集に感謝します。吉村義文さんや松岡理香さんが身を粉にして取り組む姿をずっと見てきたので、支援が広がったり、彼らの負担が減るのではないかと期待します。

 私が愛護に取り組む理由は、少しでも早く「殺処分」を無くしたいからです。そのきっかけは2009年、初めて飼った愛猫が屋外で毒餌を食べて死んだことです。毎日、悲嘆に暮れていましたが、「このままでは天国の愛猫に心配をかけてしまう。あの子が喜んでくれることをしよう」と、野良の子猫を保護しては譲渡先を探すボランティア(ボラ)を始めました。

 高知市の愛護活動家の元祖、岩戸一代さんが開く青空譲渡会などにも参加させてもらい、皆さんとの交流も始まりました。しかし、「次から次へと子猫が生まれキリがない現実」と「頑張っているボラほど、多くの保護猫を抱え苦しい生活をしている現実」に気付き2012年12月、ボラ団体「ニャンとかなるワンの会」を設立しました。目的は(1)頑張るボラを支える仕組み作りをする。(2)飼い主のいない猫の不妊去勢手術を推進する。(3)保護以外のボラを創造し、その裾野を広げる―です。

◆寄付募り活動家へ
 私はパソコン関連の仕事をしているので、SNSでの情報発信を考えました。当時、「アラブの春」によってフェイスブック(FB)やツイッターが注目されたことにも触発されました。

 発信内容は「一般人にもぜひ知ってほしいこと」「里親募集情報」「迷子の犬猫情報」「ボラ募集」などで、実際にボラ説明会も数回開きました。当時、FBの情報発信は珍しく、ボラ希望や寄付にたくさん協力していただけました。最大時で通帳残高が100万円近くありました。

 その寄付金を原資に、県内の活動家3人へ毎月定額給付(最大時2万円、現在は5千円)させていただいてます。少額ですが、活動の下支えはできたと自負しています。

 (2)の野良猫を不妊去勢手術して「さくら猫」にし、元の場所へ返すTNR活動では、活動するボラさんに、5年間で300匹以上の助成ができました。原資はやはり寄付金です。この後、県と高知市も不妊去勢手術費の助成を始めましたが、当会の活動や働き掛けが少しは刺激になったと思います。

 ただ、(3)のボラの裾野開拓はできませんでした。理由は、ボラ参加希望者は、情報発信する事務方の希望が少なかったのです。シェルター(保護施設)のお手伝いのイメージが強かったようです。また、参加してくれても、自己の価値観を他者にも強要したり、自分で捕獲した猫の保護を他人に丸投げしたりで、トラブルも多かったのです。

◆突破口はビジネス化
 連載にもあったように、動物の命はまだまだ優先順位が低いです。活動家も、個性の強い方が多いです。そこから、愛護活動はボラではなく、仕事として取り組める仕組みが必要だと強く感じました。

 その経験を踏まえて月刊ミニ情報誌(無料)の発行を決めました。現在、試験的にウェブ版で載せていますが、近々、本格的な印刷物にして、協力店舗に置かせていただければと思います。そうやって理解と取り組みを進める一方、広告収入を得ることで職員を雇用し、愛護活動をビジネス化できれば、話は進むのではないでしょうか。

 その延長線上に私は、「廃校活用の保護猫観光施設」を造りたいと考えています。笑われるかもしれませんが、もし軌道に乗せられれば、地域振興にもつながり、そこからまた、やるべきことが見えてくるでしょう。

 最後に、支出ばかりがかさむ動物愛護活動へなぜ打ち込んでいるのか不思議がられるので、説明します。

 (1)動物が好きだから。(2)世の中に貢献したいから(私は自営業で子供がいないので、普通の人が子育て終了後に取り組むことを先にできたと思う)。(3)活動することで、悲喜こもごもの体験ができ、日常生活に緊張感が出る。(4)チャレンジ精神の必要な活動は純粋に楽しい―と思っているからです。

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カテゴリー: 社会助けて!わんにゃん社会


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