2018.09.23 08:00

【安保法3年】危うい政府の実績作り

 集団的自衛権の行使容認や他国軍への後方支援拡大などを盛り込んだ安全保障関連法が、成立から3年を迎えた。
 この間も、憲法が掲げる戦争放棄や、自衛隊の「専守防衛」との関係が問われ続けてきた。国民の理解は深まっただろうか。
 否であろう。それどころか不安や疑問は膨らみつつある。
 自衛隊は安保法に基づく新たな活動分野で着実に足場を広げている。平時から米軍の艦艇などを守る「武器等防護」もその一つだ。
 昨年5月、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦などが日本の沖合で米補給艦に対し初めて実施した。その後、米軍機にも行ったことが明らかになった。
 米軍への物品提供の対象も拡大。米朝の対立が深刻化していた昨年、海自は日本海で北朝鮮の弾道ミサイル防衛に当たっていた米イージス艦への洋上給油を担った。
 米軍と自衛隊の一体化が懸念されるが、政府は詳しい情報公開に後ろ向きだ。なし崩し的に広がっている可能性さえある。
 2016年には、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加していた陸上自衛隊部隊に、襲撃された国連要員などを守る「駆け付け警護」の新任務が与えられた。任務が実行に移されることはなかったが、付与の実績を積んだ。
 現地は「戦争だった」と隊員が指摘するほど危険な駐留だったことも判明している。PKO参加5原則に抵触しかねない事態だが、防衛省は日報の隠蔽(いんぺい)問題に揺れ、まともな検証もできていない。
 安倍首相は当初「可能な限り最大限開示し、丁寧に説明する」としていたが、方便だったのだろうか。国民に不信が広がったままでは自衛隊員も報われまい。
 安保法は多くの憲法学者が違憲と唱える中、「自民1強」の国会で可決・成立した。各地で違憲性を問う訴訟も提起されている。
 運用は極めて慎重でなければならず、国会でも1件ずつ丁寧に検証すべきものだ。安易な適用拡大は許されない。
 だが、「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は目に見える実績作りに前のめりになっている。新たに「国際連携平和安全活動」も初適用する構えだ。
 エジプト・シナイ半島でイスラエル、エジプト両軍の停戦監視活動をする「多国籍軍・監視団」に陸自隊員を派遣する検討を進めている。国連が統括しない初のケースで、米国を中心に12カ国が活動している。
 政府は数人を司令部要員として派遣する考えだが、要請を受ければ部隊派遣につながる可能性が否定できない。南スーダンの教訓も踏まえ、慎重な判断が求められる。
 安倍首相が自民党総裁3選を果たし、危うい「派遣ありき」が続く恐れがある。国際貢献の必要性は否定しないが、自国民の理解を得ない派遣は貢献とは呼べまい。
カテゴリー: 社説


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