2018.09.21 14:30

タクシー運転手

タクシー運転手の一場面(c)2017 SHOWBOX AND THE LAMP.ALL RIGHTS RESERVED.
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光州事件の惨劇 真実を伝えろ 記者と運転手共闘
 武装した自衛隊員たちがデモを行う丸腰の市民を無差別銃撃する。そんな日本では起こりえないであろうことが、韓国南西部にある都市・光州(クァンジュ)で起きてしまった。1980年の光州事件である。

 映画はドイツ人の放送記者(トーマス・クレッチマン)とソウルのタクシー運転手(ソン・ガンホ)を軸にして描かれる。2人は実在の人物であり、作品は光州事件の史実を基に再構成されたものだという。

 東京に常駐していた記者は光州で異常な事態が起きていることを知り、すぐにビデオカメラを手にソウルへ飛ぶ。朴(パク)大統領暗殺事件以来の政情不安で実権を握った全斗煥(チョンドゥファン)・国軍保安司令官(後の大統領)は、光州に非常戒厳令を出した。これに市民が反発し、大規模なデモが起きた。

 メディアの取材も規制され、光州に入る道路も封鎖されている。それでも記者はソウルのタクシー運転手を雇って現場を目指す。軍政府による「発表」は信用できない。自分の目で見たことを映像として伝える。記者の信念がある。一方のタクシー運転手はギャラだけが目当てだ。それでも「光州に入る」という目的は同じで、2人は機転を利かして検問を切り抜けていく。

 1980年5月21日昼、軍は市民デモに対して一斉射撃を行う。記者と運転手は惨劇を目の当たりにする。今ここで起きていることの非道を伝えなければならない。記者と運転手の信念が重なり合う。市民たちの応援も得て、記者はビデオカメラを回して記録し、運転手は懸命の脱出を図る--。

 1989年の天安門事件での映像がよみがえる。1人の若者が戦車の前に立ちはだかり、戦車は右往左往した。しかし光州で命を受けた軍人たちは市民に銃口を向け、銃弾を浴びせた。

 今年2月、韓国国防省は地上部隊による市民への銃撃に加えて、ヘリコプターによる上空からの機銃掃射も認めた。この行為を「虐殺だった」と公式発表した。

 あたご劇場で28日まで公開。シネマの食堂参加作品として県立美術館ホールで10月4日午後1時半、4時10分、7時から上映する。日本コリア協会・高知の主催。(竹内一)

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カテゴリー: シネスポット文化


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