2018.09.13 08:00

【スルガ銀行不正】国や日銀にも責任がある

 シェアハウス投資を巡る不正融資問題についてスルガ銀行が第三者委員会の調査報告書を公表した。
 300ページを超える報告書で明らかになったのは、本当に銀行なのかと目を疑いたくなる内容だ。
 規定の自己資金が用意できない人にも融資できるよう、行員による書類の偽装が横行していた。管理職も加担したり、見て見ぬふりをしたりした。組織的な不正を指摘されても仕方があるまい。
 融資する条件として、本来は必要がない資金を高利で無理やり貸し付ける「抱き合わせ販売」も行っていた。法令順守の精神もモラルも欠如していたことになる。
 深刻なのは、審査部門が問題点を指摘したにもかかわらず、改善されなかったことだ。元専務執行役員が審査の責任者をどう喝して手続きを強引に進めさせたという。
 報告書によると、経営トップも営業成績を上げることを厳しく求める一方で、現場を放任し、事態を把握していなかった。行内審査も内部統制も機能せず、暴走が続いたといえそうだ。会長や社長らの辞任は当然であろう。
 シェアハウスは複数の人がそれぞれ自室を持ちつつ、調理や談話などのスペースを共有する賃貸物件だ。住人同士の交流ができ、家賃も安いため人気がある。
 スルガ銀は数年来、不動産投資目的でシェアハウスを購入する会社員らへの融資を伸ばしてきた。購入物件は販売業者が一括で借り上げて賃貸運営をし、購入者は賃料収入で借り入れを返済する仕組みだ。
 ところが、入居率が伸び悩み、業者は購入者への賃料の支払いに行き詰まるようになった。新たな物件販売益で補う自転車操業が続き、ついに経営破綻した。
 購入者は返済ができなくなり、スルガ銀も融資が不良債権化する恐れが強まっている。購入者の自己責任は免れないが、スルガ銀も、業者の経営状態や事業のリスクに向き合わず、業績拡大に目を奪われて不正に過剰融資した責任は重い。
 スルガ銀は静岡県沼津市に本店を置く地方銀行ながら、首都圏でも営業を拡大。多くの銀行が超低金利の逆風にあえぐ中、過去最高益を更新し続けてきた。
 業界では「地方銀行の優等生」ともてはやされ、地方銀行の経営基盤強化を目指す金融庁も高く評価したが、仮面の優等生だった。
 スルガ銀自身が糾弾されるのは当然だが、監督官庁として不正や体質を見抜けなかったことや、ここまで銀行を追い込んだ責任の一端は金融庁や日銀にもあろう。
 気掛かりなのは、スルガ銀特有の問題なのかという点だ。不適切な営業をしている銀行が他にもあるのではないかとの不安の声がある。
 地域経済にとって地方銀行が果たしている役割は大きい。信頼や土台が揺らぐことがあってはならない。金融庁は実態をしっかりと把握する必要がある。
カテゴリー: 社説


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