2018.09.11 08:00

【北海道の大停電】危機想定は十分だったか

 日常の生活や社会がいかに電力に頼っているか。ライフラインの安全管理を再確認したい。
 最大震度7を記録した北海道の地震は、道内全域で一斉停電するブラックアウトを引き起こした。ほぼ解消してきたとはいえ、全面復旧にはなお時間がかかる。
 電力需要のピークが供給力を上回る可能性があるとして、北海道電力は事前に時間や地域を定めて電気を止める「計画停電」も選択肢に挙げる。道民生活への影響はあまりに大きい。説明を尽くし、節電にも理解を得ながら、供給体制の再整備を急がなければならない。
 全域停電に陥ったのは、震度7が直撃した厚真(あつま)町にある苫東厚真火力発電所が止まったためだ。道内の電力需要の約半分を担う発電所の停止で電力需給のバランスが崩れ、他の発電所が連鎖してダウンした。
 運転停止中の北電泊原発の再稼働のめども立たない中、一極集中型になっていた電力供給体制のもろさが露呈した。
 北電は苫東厚真火力発電の全3基が同時に停止する事態も想定していなかったという。自然災害や事故による大規模停電は阪神大震災や東日本大震災、海外の大都市でも起き、その教訓からの防止対策が問われてきたはずだ。
 災害などの緊急時に本州側から電力融通を受けるため敷設した送電網も機能しなかった。青森県とつなぐ海底ケーブルの北海道側の設備が、停電で作動しなかったからだ。せっかくのバックアップ体制を骨抜きにした。
 北電のリスク管理は十分だったのか。検証が求められる。
 大規模停電は、電力依存が高まる市民生活を直撃した。日常生活に不可欠になったスマートフォンの充電ができなくなり、通信や災害情報を得る手段が断たれ、混乱を深めた。非常時の電源のインフラ整備が課題として指摘される。
 高度な医療機器の広がりで、病院の電力ニーズも高まっている。今回の停電で各病院はそれぞれ非常用電源でしのいだが、仮に大規模停電が長引けば、治療が止まり、患者を移す病院もなくなる。停電対応のシミュレーションを見直すよう訴える声も上がる。
 道は平常時より2割の電力削減が必要とし、北電とともに節電への協力を呼び掛ける。地震から5日目のきのう朝、厚真町は冷え込んだ。北の冬は早い。電力供給の不安定な状況が続き、計画停電が実施されるような事態は避けなければならない。命に関わる。
 地震で施設が損傷した苫東厚真火力発電の耐震対策はどうなっていたのか、再発防止策は。泊原発は外部電源を一時喪失した。大規模停電の長期化を想定した危機対応は―。北電はその説明責任も負う。
 四国も北海道と同様に本州と海で隔てられている。地域の電源、電力の安全・災害対策、さらに各家庭の備えを改めて点検したい。
カテゴリー: 社説


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