2018.09.09 08:00

【避難率の低さ】行政と住民双方の課題だ

 日本列島で未曽有の災害が相次ぐ中、防災の在り方が改めて問われる数字が明らかになった。
 西日本豪雨で多くの犠牲者が出た岡山、広島、愛媛3県のうち、避難指示に対し実際に避難した住民の数が分かる17市町の平均の避難率は、4・6%にとどまったことが分かった。共同通信が調べた。
 豪雨禍から2カ月。被害の大きさとも切り離せない重い現実と受け止めたい。
 低い避難率は災害のたびに課題になってきた。避難情報がなぜ住民の行動に結び付かなかったのか、今回も徹底した検証が求められる。風水害や地震・津波に警戒が怠れない高知県も教訓とすべきだろう。
 避難指示は、避難勧告に比べより差し迫った危険を指す。当時、3県では各地に発表された。
 被害が大きかった広島市や岡山県倉敷市は集計データの違いから17市町に含まれていないが、各地とも緊迫した状態だった。
 避難率は実際に避難所などに身を寄せた人の数を基に算出した。最も高い広島県坂町は23・8%だったが、同県呉市や岡山市など7市が1%未満だったことは驚かされる。
 住民から、避難情報の意味が理解できなかったとの声が寄せられた自治体もあったという。これでは命を守ることができない。
 行政、住民の双方に課題がありそうだ。
 行政側は情報発信の在り方や日頃の啓発を見直す必要がある。大雨は前もって情報を集め、警戒に当たることができるが、今回は状況判断が遅れた地域が少なくない。
 避難の呼び掛けが真夜中になったり、浸水の拡大と重なったりした。やむを得ず自宅の上階に垂直避難して助かった住民もいたが、それも間に合わずに犠牲になったとみられる高齢者がいた。
 愛媛県の肱川の氾濫では、ダム放流を巡る国と自治体の連携不足や、流域住民への周知方法に批判が集まっている。常に住民目線に立った対応が求められる。
 住民側も防災への姿勢に問題があったと言わざるを得ない。受け身になっていなかっただろうか。
 行政が出す情報には敏感であるべきだが、行政が当てにならず、命は自分自身や住民同士で守るしかなかった災害は少なくない。
 地域の危険箇所や過去の災害を知る。避難経路の問題点を把握しておく。近隣と声を掛け合い、場合によっては行政の呼び掛けより先に避難する必要もある。日頃の交流や訓練が欠かせない。
 高知県内では、地域で声を掛け合って早めに避難し、難を逃れた例がいくつもある。一方で、東日本大震災時の避難指示・勧告では、避難率5・9%にとどまった。
 「わが家は大丈夫」「大したことはないだろう」と高をくくるのが最も危険だ。この先も自然の脅威がなくなることはない。教訓を生かし、謙虚に防災に取り組みたい。
カテゴリー: 社説


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