2018.09.08 08:00

【関空の閉鎖】海上のリスクを検証せよ

 非常に強い台風21号が近畿地方を直撃し、暴風や高潮などによって大きな被害が出た。
 特に衝撃的だったのは閉鎖に追い込まれた関西空港の惨状だ。きのう一部の国内線の運航を再開したが、海上に立地する危うさが改めて露呈したといえ、しっかり検証して対策を講じる必要がある。
 関空は大阪湾を埋め立てて造った人工島にある。高潮で滑走路とターミナルビルが浸水し、機能まひに陥った。大阪・泉州地域と結ぶ唯一の連絡橋は強風で流されたタンカーが衝突し、道路と鉄道が使えなくなった。空港に取り残され、一夜を過ごした旅行客らは約8千人に上る。
 自然が猛威を振るった格好ではあるが、それを「想定外」として済ませるわけにはいかない。
 関空島は1994年の開港以後も地盤沈下が続き、昨年1年間では平均で6センチ沈んだ。2004年には台風に伴う高潮と高波で浸水被害が出ている。対策として進めたのが護岸のかさ上げ工事だ。
 1961年の第2室戸台風で記録した大阪湾の最高潮位293センチに加え、50年に1度の高波が来ても護岸を越えないように高くしたという。ところが、今回は329センチと過去最高を塗り替えてしまった。
 21号は強い勢力、北上の速度など高潮につながる条件が重なったようだ。だが、滑走路やターミナルビルが浸水しただけでなく、ビルの地下にある機械室などの浸水が停電につながった。
 「浸水はあり得ない」という前提で台風への備えが組み立てられていた、と受け止められても仕方あるまい。それが基本の姿勢なら、「想定を超えるものが来た」とする関空運営会社の説明は簡単に理解を得られるとは思えない。
 「陸路」の危うさも改めて浮き彫りになった。流されたタンカーの衝突によって、頼みの連絡橋が破損してしまうような事態を想定することは難しいだろう。
 ではあっても、台風時のように強風で連絡橋が閉鎖されるケースはある。暴風で橋が損壊する危険性もゼロではあるまい。長時間にわたって「孤島」になるといったリスクについてどの程度検討し、対策を講じているのか。
 地球温暖化の進行に伴って、海面が上昇したり、極めて強いスーパー台風が日本を襲ったりする可能性が指摘されている。今後、より危険な高潮や高波に見舞われる恐れは一段と高まるに違いない。
 関空に限らない。国内ではほかにも羽田や中部、神戸、北九州、長崎などの海上空港がある。むろん、それぞれの置かれた条件は異なるが、海上に立地するゆえの脆弱(ぜいじゃく)さは共通していよう。
 気象災害にとどまらず、南海トラフ地震などの揺れや津波への備えの問題もある。関空の甚大な被害をきちんと検証し、どこに漏れがあったのかを点検した上で、対策に取り組んでもらいたい。
カテゴリー: 社説


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