2018.09.07 08:00

【北海道で震度7】余震警戒、救助に総力を

 北の大地が揺さぶられ、また命がのまれた。北海道南部の胆振(いぶり)地方を震源とする強い地震があり、最大震度7をはじめ、道内全域に揺れが広がった。各地で土砂崩れや家屋倒壊が相次いだ。
 死者、負傷者のほか、山の崩落で多くの家屋が埋まり、安否不明者が多数に上る。道内全ての約295万戸が一時停電し、道民のライフラインや交通機関などインフラ機能がまひ状態に陥った。
 7月の西日本豪雨、その後に続く酷暑、さらに台風21号の暴風雨で傷ついた日本列島に震災が追い打ちをかける。自然の脅威は時と場所を選ばず、容赦がない。
 今後1週間ほどは震度6強程度の余震が予測される。震度7の前震・本震が続き、被害を広げた2016年の熊本地震の事例もある。台風の雨で地盤も緩んでいる。余震や土砂災害への警戒に万全を期しながら、被災者の救助や捜索、災害復旧に総力を挙げてほしい。
 地震の規模はマグニチュード(M)6・7と推定され、北海道で震度7を観測したのは初めて。内陸の断層がずれる「逆断層型」との見方があるが、震度データが送信不能になった地点もあり、なお詳しい調査が必要だ。
 山々の至る所が爪でえぐられたように崩れ、茶色い傷痕がむき出しになっている。その下の家々が木々もろとも崩落した土砂にのまれ、住民の捜索が続く。震源に近く、最大震度7に見舞われた厚真(あつま)町の土砂崩れ現場が異様な光景を見せる。
 地盤が弱くなっていた層が直前の雨でさらに緩んだところに強い揺れが襲い、同時多発的に崩壊したとみられる。地震による土砂崩れは04年の新潟県中越地震や熊本地震などでも起きている。今後の防災のためにも分析を急ぎたい。
 インフラ機能のダウンが、地域に及ぼす影響の大きさも改めて突き付けられる。
 道内全域の一斉停電で鉄道などが全面ストップしたほか、電話など住民の情報通信手段も途絶え、混乱を招いた。災害拠点の役所や病院にも支障が出た。道内の電力需要量の約半分を担う北海道電力の苫東厚真火力発電所が停止したため、他の発電所も連動して止まった。
 停電規模は1995年の阪神大震災の約260万戸を超える。今回のケースは想定外だったのだろうか。停電が長引けば、市民生活の再開や災害復旧を遅らせ、道経済にも打撃を及ぼす。関係機関が連携し、復旧を急ぎたい。
 北海道の空の玄関口である新千歳空港では天井が落下した。施設の天井の耐震化も過去の震災を踏まえて重要課題だった。
 国内で震度7は熊本地震以来だが、北海道では93年の釧路沖地震など震度6級の地震は繰り返し起きている。教訓はどう生かされてきたのか。高知県も南海トラフ巨大地震への警戒が叫ばれ続けている。いま一度、備えを整えたい。
カテゴリー: 社説


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