2018.09.06 08:00

【ネット依存】中高生への手だて急げ

 インターネットへの病的な依存が疑われる中高生が推計で93万人に上ることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。
 全国の中高生の7人に1人に当たる衝撃的な多さだ。5年前の51万人からほぼ倍増したことも異常事態といってよい。
 ネット依存は、インターネットやオンラインゲーム、会員制交流サイト(SNS)などに没頭し、やめられなくなる状態をいう。スマートフォンの普及によって世界的に問題になっている。
 特に多いゲームへの依存は、世界保健機関(WHO)がことし6月、「ゲーム障害」として新たな疾病に加えたばかりだ。
 研究班の調査結果からも、ネット依存が学業や生活への支障だけでなく、中高生の心身をむしばみかねないことが読み取れる。
 手遅れにならないうちに対策を急ぐ必要がある。学校や家庭はもちろん、国を挙げて取り組みたい。
 調査は2017年度に実施し、協力を得た中高生約6万4千人の回答を分析した。その結果、研究班がネットの「病的使用」に当たると判断した生徒数が前回12年度調査より急増していることが分かった。
 詳細に見るとなお顕著だ。病的使用の中学生の割合は男子が10・6%(12年度4・4%)、女子が14・3%(同7・7%)、高校生は男子13・2%(同7・6%)、女子18・9%(同11・2%)だった。
 中学生の増加からは依存者の低年齢化もうかがえる。女子の割合が高いことも気になる。
 高校生の調査では、平日にネットを5時間以上する生徒が15%前後いることも分かった。休日ともなると3割近くに及ぶ。
 これでは睡眠不足や学業への影響が出て当然だ。実際、調査では授業中の居眠りや成績が下がった経験がある生徒が多かった。
 深刻に捉えたいのは、前回調査の時点でもっと危機感を持つべきであったということだ。スマホがさらに普及することは容易に想像できたはずである。
 私たちの社会は無策であったと言われて仕方がないだろう。子どものネット依存をここまで拡大させた責任は重い。
 あらゆる人や物がネットでつながる時代だ。ネットはいまや社会インフラといってもよい。社会をより便利に、より豊かにする可能性を秘めている。
 しかし、闇も深いのがネット社会だ。利用が増えれば、犯罪に巻き込まれたり、うその情報や教育上問題のあるサイトに出くわしたりする危険が高くなる。
 海外ではゲームのやり過ぎで死亡した例がある。暴力やうつ病、脳障害を起こす恐れも指摘されている。適正な利用環境づくりや依存解消への取り組みも強化が急がれる。
 ネット社会を本当に豊かで平和な社会にできるかどうかは、私たちの意識にかかっていよう。
カテゴリー: 社説


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