2018.09.03 08:00

【自転車スマホ】運転者の自覚を持とう

 自転車は誰もが気軽に運転できる乗り物だが、油断すると、自動車やバイクと同様に取り返しのつかない悲劇を生む。
 スマートフォンの操作に気を取られて自転車で歩行者にぶつかり、死亡させたとして重過失致死罪に問われた元女子大学生に、横浜地裁川崎支部が禁錮2年、執行猶予4年の判決を言い渡した。
 事故は昨年12月、川崎市の市道で起きた。元大学生は右手に飲み物、左手にスマホを持ち、左耳にイヤホンをした状態で運転していた。
 これでは事故になって当然だ。裁判長は判決で「歩行者を死傷させ得るとの自覚を欠いた運転は自己本位で過失は重大」と指摘した。
 残念ながら、「ながらスマホ」の自転車はよく見掛ける。交差点で信号待ちをしている間だけでなく、走行中にも画面に夢中になっている人がいる。スマホを愛用する若い世代が目立つ。
 茨城県つくば市でもことし6月、「ながらスマホ」で自転車を運転していた男子大学生が歩行者の男性にぶつかり、男性は頭を強く打つなどして死亡した。
 まさか自転車に命を奪われるとは犠牲者は無念だった違いない。加害者となった若者も一生、後悔し続けるだろう。
 自転車であっても車両だ。歩道を走ることも多く、自動車やバイク以上に歩行者とぶつかりやすい。安全運転に重い責任があることを改めて肝に銘じたい。
 政府の調査では、自動車やバイクを運転中にスマホを含む携帯電話を使ったことがある人は36・5%にも上っている。スマホの世帯普及率は既に75%を超えており、「ながら運転」は誰もが冒す恐れがある危険といってよい。
 自転車も同じ状況であろう。歩行者が携帯電話(スマホを含む)を使用中の自転車にはねられるなどした事故は昨年、全国で45件に及んだ。スマホ普及前の2007年に比べ、3倍以上の数だ。
 スマホ利用者が画面に夢中になる理由には、刺激的なゲームや会員制交流サイト(SNS)のやりとりがあると指摘されている。「自分だけは大丈夫」という思い込みも安全意識を妨げる。
 多機能なスマホはいまや社会インフラの一つともいわれる。今後も用途は拡大し続けるだろう。
 一方で、「ながらスマホ」や個人情報の漏えいなど課題も多い。海外でも社会問題化しており、国際的に取り組んでいきたい分野だ。
 運転中は操作できないようにするなど、メーカーを巻き込んだ技術的な取り組みも検討すべきだろう。厳罰化を求める声も増えており、十分に論議していきたい。
 政府の調査では、車の運転者の大半が「ながらスマホ」の危険性を深く認識している。心掛けによるところが大きいということだ。啓発に一層力を入れるべきなのは言うまでもない。
カテゴリー: 社説


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