2018.09.01 08:00

【防災の日】死角、油断はないか

 新年早々に不意を突かれた群馬県・草津白根山の噴火、激しい揺れが大都市を直撃した6月の大阪府北部地震、7月には西日本を記録的な豪雨が襲い、多くの命を奪った。さらに、過酷な熱波が続く。
 私たちは災害列島に生きる。自然の猛威のたびに教訓を新たにしているのに、被害を防ぎ切れないもどかしさ、悔しさがある。きょうは防災の日。地域の安全を点検し、日々の備えを確かにしていきたい。
 幾多の自然災害を経験し、さまざまな防災対策が講じられてきた。だが、今年相次いだ震災や豪雨は、なお残る日常の死角や油断を表出させたのではないか。
 死者が200人を超え、「平成最悪」の水害になった西日本豪雨は、九州から近畿地方にかけて延びた梅雨前線に沿って同時多発の大雨を降らせた。特定地域で豪雨が続く線状降水帯が各地で発生し、河川氾濫や土砂崩れを引き起こした。
 線状降水帯は昨年の九州北部豪雨などをもたらしてきた。気象庁もそうした豪雨への警戒を強め、今回は警報などの発表前から注意を呼び掛ける異例の対応を取り、住民に避難行動などを促した。
 過去の豪雨災害での反省も踏まえ、気象庁は警報などにも改善を重ねてきた。だが、切迫した状況として受け止め切れなかった住民が家や車中などにとどまり、被災した事例が今回も報告された。自治体による避難勧告や指示のタイミングなども問い直された。
 気象情報の複雑化などが課題に指摘される一方、住民側も災害や防災情報への知識や気構えが不十分だった面があるのではないか。「まさかここまで」「まだ大丈夫」といった想定外への油断だ。
 気象庁の警報や自治体などの避難情報を住民の実際の防災行動にどう結び付けていくか。啓発や避難訓練を地道に重ね、地域防災を根付かせていきたい。
 大阪府北部地震では、学校のブロック塀の強度不足問題が女児の犠牲により露呈した。40年前の宮城県沖地震の倒壊被害を機に厳格化された建築基準が守られず、危険なブロック塀が高知県も含め多数残されていたことが明らかになった。
 悲劇を重ねてなお教訓が行き届いていなかった。日常生活の死角に潜む危険をどう見つけだし、取り除いていくか。たゆまぬ検証と点検が改めて求められる。
 自然の異変も広がっている。「災害と認識している」。日本列島を覆う今夏の猛暑を気象庁はそう説明し、「命の危険がある暑さ」と強い警戒を呼び掛けた。熱中症の死者が相次ぎ、人々の日常生活を脅かしている。「猛暑災害」と言っても過言ではないほどの状況だ。
 異常気象は世界各地に及んでいる。その大きな原因とされる地球温暖化に歯止めをかけなければ、豪雨や猛暑もエスカレートするばかりだろう。自然の異変の究明とその防止対策も一層急がれよう。
カテゴリー: 社説


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