2018.08.31 08:00

小社会 ことし初めてのサンマが食卓に上った。まだハシリで…

 ことし初めてのサンマが食卓に上った。まだハシリで身は細めだが、長さは十分ある。1尾200円でスーパーの氷水の中に浮かんでいたという。

 今、水揚げの盛んな北海道では、店頭価格が100円を切るほどの豊漁だそうだ。記録的不漁だった昨年のサンマは実にひどかった。魚体は小さくやせ細り、身もパサパサ。さらに高値とあってはもはや大衆魚とはいえず、塩焼きのうまさは望むべくもなかった。

 〈あはれ/秋風よ/情(こころ)あらば伝へてよ〉に始まる佐藤春夫の失恋詩「秋刀魚(さんま)の歌」。〈さんま、さんま、/さんま苦いか塩っぱいか〉の一節も広く愛唱され、サンマに文学の味と香りを与えた。

 県出身の芥川賞作家、安岡章太郎さんは、予備校での浪人時代、友人に初めてこの歌を教わった。「これまで読んだどんな歌にも文章にも感じたことのない一種特別な」、異様な心持ちがした。「サンマのはらわた、青いミカン、幼児の黒い眼(め)」などが、「奇妙な音楽」のように聞こえた。「この歌をきいたときから僕の人生がかわりはじめた」という(「『さんまの歌』の想(おも)い出」)。

 これほどの影響を与えられたのは、佐藤の表現力とともに、サンマの魅力があるのではないか。旬の秋は日本人の詩情を誘い、サンマの魚体はどことなくはかなげだ。

 ことしのサンマはこれから脂が乗り、値段も期待できそう。庶民に広く愛される大衆魚であり続けてほしいと願う。


8月31日のこよみ。
旧暦の7月21日に当たります。きのと ひつじ 八白 先負。
日の出は5時39分、日の入りは18時33分。
月の出は21時28分、月の入りは9時42分、月齢は19.7です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で2時26分、潮位64センチと、14時33分、潮位64センチです。
満潮は8時29分、潮位182センチと、20時47分、潮位185センチです。

9月1日のこよみ。
旧暦の7月22日に当たります。ひのえ さる 七赤 仏滅。
日の出は5時39分、日の入りは18時32分。
月の出は22時04分、月の入りは10時42分、月齢は20.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時07分、潮位64センチと、15時08分、潮位79センチです。
満潮は9時15分、潮位172センチと、21時19分、潮位180センチです。

カテゴリー: 小社会コラム


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