2018.08.25 08:00

【月面の氷】人類の宇宙進出の鍵に

 高知市に開館した「オーテピア」にある高知みらい科学館はプラネタリウムが目玉の一つです。
 体験された児童・生徒の皆さんも多いことでしょう。満天の星を鮮やかに再現し、宇宙や星空がぐんと身近に感じられます。
 人類は古くから星空に魅了され、それが科学や文化の発展にもつながってきました。中でも特別な存在なのが月ではないでしょうか。
 地球に最も近い天体で、地球の周りを回る衛星です。夏休みの自由研究などで、月のクレーターや満ち欠けを観察した経験がある人も多いと思います。月への関心は宇宙への扉でもあるのです。
 その月について米国の航空宇宙局(NASA)が注目すべき発表をしました。月の南極と北極に氷があるのを確認したというのです。
 インドの月探査人工衛星の観測データから分かりました。これまでにも存在する可能性が指摘されてきましたが発見には至らず、直接確認できたのは初めてといいます。
 人類の宇宙への進出にとって鍵になる発見かもしれません。宇宙で生きていくために必要な水を月で確保できるかもしれないからです。
 月への挑戦は宇宙開発の歴史ともいえます。1959年、旧ソ連の無人探査機が月の上空に初めて達します。69年には米国が「アポロ計画」で有人着陸に初成功。72年までに計12人が降り立ちました。
 宇宙開発はその後、宇宙ステーション計画に移り、月は忘れられた存在でしたが、近年再び、熱い視線が注がれています。日本や中国、インドなども無人の月探査を成功させています。
 月の資源利用や、月を火星の有人探査の拠点にする計画が浮上してきたからです。米国は月を周回する宇宙ステーションを建設する計画で、日本やロシアも協力する検討を進めています。中国は独自に月面基地を造る考えです。
 見つかった氷が利用できれば、地球から水を運ぶ手間が省け、滞在しやすくなります。水素を取り出せば燃料にもなり得ます。その他の資源も利用できるかもしれません。火星への挑戦に弾みがつきます。
 月の研究も飛躍的に進むことが期待されます。
 例えば月の起源。地球ができた初期に火星ほどの大きさの惑星が衝突し、地球の破片が集まってできたとする説が有力ですが、証拠は十分とはいえません。月を知ることは地球の探究にもつながるのです。
 もちろん、こうした取り組みを実現するにはまだまだ英知を結集する必要があります。
 平和的に進めることも大切です。歴史を振り返ると水や資源は紛争の種になってきました。最近の宇宙開発も大国の権力争いの兆しがあります。宇宙で愚かな歴史を繰り返すことは避けたいものです。
 遠くない未来、人類が月や火星にどのような進出を果たすのか。私たちの科学と見識にかかっています。
カテゴリー: 社説


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