2018.08.24 08:00

【障害児スポーツ】学校の枠組み超え支援を

 シドニーで開催された車いすラグビーの世界選手権で、高知市の池透暢(ゆきのぶ)選手が主将を務めた日本チームが初優勝した。障害者スポーツの選手たちには大きな励みになろう。ただ、将来のパラリンピックなどを目指す子どもたちへのサポート体制はまだ不十分のようだ。
 心身に障害のある児童・生徒が学ぶ特別支援学校の4割がスポーツの部活動などを導入していない実態が明らかになった。全国特別支援学校長会の調査で分かった。
 政府は、2020年東京五輪・パラリンピックを契機とし、障害の有無にかかわらず全ての人々が支え合う「共生社会」の実現を基本方針に打ち出し、障害者スポーツの活性化を掲げる。教育現場からの育成の取り組みが大きな鍵を握るだけに、子どもたちへの支援の充実が一層求められる。
 全国の小・中・高等部の特別支援学校1313校を対象にした調査で、回答のあった1179校のうちスポーツの部活動・クラブ活動を取り入れているのは59%にとどまり、年齢が下がるほど実施率が低かった。高知県も回答13校のうち54%の7校だった。
 回答からは部活動の導入を難しくしている要因が浮かび上がる。障害者スポーツの専門知識やノウハウを持つ教員や指導者の不足をはじめ、特殊で、高額にもなる用具や施設の予算をどう確保するのか、といった問題だ。
 けがや事故の防止という安全面も含め、子どもたちへの指導にはそれぞれの障害の種類や程度に応じた専門的な知識や技術が必要になる。そのため、教員の指導者養成が十分に行き届かないのが実情で、調査では教員以外の外部指導員の確保も13%にとどまる。
 休日などの部活動は子どもの送迎で保護者の負担が増すほか、水泳などでは児童らを個別に介助するよう求められるケースもある。学校の枠組みだけでは担い切れない。周囲の理解と多面的な協力がなければ、子どもたちの受け入れ体制を充実させるのは難しい。
 スポーツ庁の17年度調査では、7~19歳の障害者で過去1年間に週1回以上の頻度でスポーツをした人の割合(実施率)は3割弱で、成人でも約20%と低かった。若年障害者が日常的に運動する機会の少なさを示す。
 「障害者のスポーツにも目を向けて体験し、心を向かい合わせることが大切だと思う」。車いすバスケットを体験した高知市の小学6年の児童が高知新聞「声ひろば」に寄せてくれた言葉だ。スポーツは障害者と健常者をつなぎ、多様性を広げ、共生社会を導く力を持つ。
 国は東京パラリンピックに向け、若年障害者のスポーツ実施率を21年度末までに50%に引き上げる目標を立てている。障害者、学校現場への支援だけではなく、健常者や地域との結び付きを深めていくサポートも欠かせない。
カテゴリー: 社説


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