2018.08.23 08:00

【障害者雇用】共生へ調査と改善徹底を

 障害者雇用の水増し問題は、中央省庁だけでなく高知県など地方自治体にも広がり、底なしの様相を呈している。
 国は障害者雇用率制度の理念について、障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる共生社会の実現をうたう。
 40年以上も続いてきた水増しで、国や自治体はその理念と誠実に向き合ってきたかすら疑われている。責任の所在を明確にし、早急に改善されなければならない。
 中央省庁では、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率を達成するための水増しが、財務省や経済産業省などでも行われていたことが分かった。疑いのある行政機関も含め、関与した省庁は拡大の一途にある。
 水増し分を除いた実際の雇用率は昨年、法定の2・3%(今年4月以降は2・5%)に対し、0%台になる省庁が複数あることも判明。障害者の雇用を数千人規模で偽っていたという。野党による「障害者の働く機会を国が奪った重大事態」という批判は的を射ている。
 厚生労働省のガイドラインでは、制度の対象者は障害者手帳で確認するのが原則である。例外的に、指定された医師の診断書や意見書で確認できる場合もある。
 しかし、中央省庁では指定外の医師が作成した無効な診断書が使われていたほか、視力が弱かったり、健康診断で異常が指摘されたりした職員を障害者と見なしたケースもあったという。
 省庁の一部は「理解不足が原因で故意ではない」と主張している。たとえ過失だとしても公務員として通用しない言い訳であり、意図的な不正を疑わざるを得ない状況だ。
 高知県でも、障害者手帳を確認していない職員を雇用率に算入していたことが明らかになった。
 手帳の有無を確認していない職員を除いた知事部局の法定雇用率は、2004~17年度で17年度しか達成していなかった。担当課は、国のガイドラインが求めるプライバシー配慮の観点から、身体の状況や所属長の聞き取りを基に自己申告がなくても独自に判断していた。
 尾﨑知事は水増しの意図を否定し、「(ガイドラインの)運用で詰めが甘かった」と反省している。
 ただ、さして労力を費やすとは思えない国や他県への確認を怠り、厳格に運用してこなかったのは、やはり公務職場としてずさんである。意図的な不正かどうかも含めて背景は徹底して究明すべきだ。
 高知県では1992年の完全週休2日制実施をはじめ、民間を先導する官の影響力は大きい。ましてや障害者雇用率は、条件に達しない企業に国が罰則を科す制度である。率先垂範すべき県庁の自覚を求める。
 高知労働局は、まず県の実態把握に努め、市町村の調査も検討しているという。障害の有無にかかわらず誰もが対等に安心して働ける「共生社会」の実現へ、再発防止を徹底しなければならない。
カテゴリー: 社説


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