2018.08.18 08:00

【障害者の雇用】国の水増しは言語道断だ

 国土交通省や総務省などの省庁が義務付けられた障害者の雇用数を水増しし、不適切に法定の雇用率を満たしていたことが判明した。
 1976年に身体障害者の雇用が義務化された当初から恒常的に行われていた。実際の雇用数は半分にも満たない可能性があるという。
 言語道断である。
 政府は民間企業に積極的な障害者雇用を求めている。雇用を促すために、条件に達しない企業には1人不足するごとに月5万円の納付金も課す政策も取っている。
 政府自身が率先して雇用を進めるのは当然のことだ。42年にもわたってその数を水増ししていたとなると、障害者や民間企業の政府への信頼は失墜する。
 所管する厚生労働省が自らを含め調査に入っている。実態や背景を速やかに究明し、国民に公表するよう強く求める。
 一定規模以上の民間企業や省庁、自治体などの公的機関は障害者雇用促進法により、障害者を雇用する義務がある。法定雇用率は今春、0・2ポイント引き上げられ、民間企業が2・2%、国や自治体などは2・5%になった。
 昨年6月時点で、国の33行政機関は計約6900人の障害者を雇用。平均の雇用率は2・49%で、当時の法定雇用率2・3%を達成したとしてきた。
 ところが、多くの省庁で、障害の程度が軽く、障害者手帳を持たない対象外の職員を算入していた。
 意図的な数字の操作があったのなら由々しき事態だ。そうでなかったとしても行政機関である以上、制度を知らなかった、では通らない。厚労省も毎年、各政府機関から雇用状況を提出させているが、真偽のチェックができていなかった。
 民間の昨年6月時点の障害者雇用率は平均で1・97%。当時の法定の2・0%には届いていないが、雇用率は年々上昇している。
 その裏で、政府機関は不適切な対応を続け、厚労省も放置してきたとなれば、雇用政策の根幹が揺らぎかねない。
 厚労省は2014年、障害者雇用率を水増しし虚偽報告したとして、所管の独立行政法人を刑事告発したり、職員を更迭したりした。当時の塩崎厚労相は「障害者の方々からの行政に対する信頼を失墜させる深刻な背信行為だ」と指摘したが、今回はさらに深刻である。
 公文書問題や汚職など省庁の不祥事が相次いでいる。どこを向いて公務をしているのか疑う。
 障害者の就業は障害者の自立や社会参加に欠かせない。障害者雇用は今春から、身体障害者、知的障害者に加え精神障害者も対象になった。法定雇用率は21年4月までにさらに0・1ポイント引き上げられる。
 まさに官民が一体となって、障害者の雇用をさらに進めなければならない時である。政府が責任ある対応を取らなければ、それに暗雲が垂れ込める。
カテゴリー: 社説


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