2018.07.30 08:00

【外国人労働者】共生の準備が欠かせない

 外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府が骨太方針に盛り込んでいた新たな在留資格が、来年4月にも創設されることになった。
 最長10年の労働を可能にし、これまで認めていなかった外国人の単純労働を事実上解禁するものだ。政策の大転換といってよい。
 日本で働く外国人労働者の数は、昨年10月時点で過去最多の約128万人に上る。人口減少が進む日本では、外国人労働者の需要は増しており、政府は新たな制度で数十万人を受け入れる考えだ。
 だが、来春の開始となると拙速感が拭えない。これまでの受け入れ体制に問題が多かったからだ。
 最たるものが外国人技能実習制度だろう。低賃金や長時間労働、パワーハラスメントなどが相次ぎ、国内外から、「奴隷的」なケースがあるとさえ批判された。
 安易な門戸拡大では同じことが繰り返されかねない。外国人労働者の権利を擁護し、生活環境や相談体制なども整える準備が急がれる。
 社会の側もこれまで以上に共に暮らす意識づくりが大切だ。しっかりと議論や準備を重ねたい。
 新資格は慢性的な人手不足に悩む介護、農業、建設、宿泊、造船の5分野が検討されてきた。政府は多くの業界から要望が出ていることを踏まえ、製造業や水産業にも拡大する方向だ。
 新制度に合わせて在留管理を強化するため、「入国管理庁」のような官庁を創設する検討にも入った。
 在留期間は、通算で最長5年を原則とする。技能実習制度と合わせれば10年の滞在が可能になるが、家族の帯同は認めない。こうした制限から政府は「移民とは異なる」としている。
 移民の受け入れ問題を先送りした対症療法との指摘が出て当然だ。
 技能実習制度も、本来は途上国の人材育成という国際貢献の仕組みだが、政府は事実上、労働力確保の手段に用いてきた。在留期間も3年から5年に延長して受け入れ人数を増やしてきた。
 在留が10年になれば、技能もより高まり、日本で生活基盤もできる。永住を望む声も出るだろう。安倍首相は外国人労働者を求める一方で、「移民政策は取らない」方針を示している。都合のよい政策になってはいないか。
 日本の社会や産業は既に、外国人労働者なしでは成り立たなくなっている。大都市では、コンビニも飲食店もホテルも、外国人労働者が支えているといっても過言ではない。今後は介護現場での活躍も期待されている。
 日本への貢献にふさわしい受け入れ方を模索すべきだ。もちろん移民の門戸を開くとなれば国民的合意が必要になる。不安を抱く人も多く、簡単ではない。日本人の雇用への影響も検証しなければならない。
 だからこそ抜本的な論議が要る。問題の先送りを続ける国に共生の道は開けまい。
カテゴリー: 社説


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