2018.07.29 08:00

【自民党総裁選】政権の在り方を問い直せ

 9月に予定される自民党総裁選に向けた動きが活発になってきた。
 巨大与党である自民党の総裁選は事実上、国のリーダー選びである。政権や政策の在り方を問い直す貴重な機会にしてもらいたい。
 安倍首相(党総裁)は通常国会の事実上の閉幕を受けた20日の記者会見で、憲法9条に自衛隊を明記する改憲への決意を訴えた。連続3選を目指す立候補は既定路線だ。
 石破元幹事長も26日に共同通信社で行った講演で「選挙は行われるべきだ。自分の損得や保身は捨てなければいけない」と述べ、事実上の出馬表明と報じられた。
 岸田政調会長は出馬を見送った。野田総務相は推薦人集めが難航しており、安倍氏と石破氏の一騎打ちとなる見通しが強まっている。
 前回2015年は安全保障関連法案の攻防が激化する中、閣僚だった石破氏や岸田氏らが出馬を見送り、安倍氏の無投票再選となった。
 分裂と再編を繰り返す主要野党が政権と対峙(たいじ)できているとは言えない中、与党内で政権への「異論」が堂々と主張される見通しになったことは歓迎したい。
 安倍政権が発足し、総裁選が選挙戦にならなかった5年半余りの間、安倍1強、官邸1強の政治が深化してきた。権力の一極集中が長期化する中、政権与党の「おごり」は一層、指摘されるようになっている。
 先の通常国会では、働き方改革関連法、カジノ解禁を含む統合型リゾート施設(IR)整備法などを数の力で成立させた。
 共同通信の世論調査では、働き方改革関連法を評価しない人が60・9%、IR整備法への反対が64・8%に上った。法が成立してなお政策がこれほど国民に理解されない説明不足は、正常な姿とは言えまい。
 森友、加計学園を巡る問題では、首相や首相夫人の影響、官僚側による忖度(そんたく)の有無、政治の私物化があったかどうかは何も解明されていない。重要な人物の国会招致を拒み、国民の疑念を晴らそうとしない政権与党の姿勢は疑問がある。
 「緩み」も否定しようがない。西日本豪雨が迫る中、官房副長官が宴会写真を公にして批判を受けたのはその象徴と言える。財務省の決裁文書改ざんやセクハラ問題、文部科学省の相次ぐ不祥事など官僚の倫理低下も目を覆うばかりである。
 自民党が辛酸をなめた下野時代に策定した党綱領には「勇気を持って自由闊達(かったつ)に真実を語り、協議し、決断する」「多様な組織と対話・調整し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」とある。
 石破氏は講演でこれを引用し、暗に安倍政権を批判した。自民党は本来、多様な意見を内包する政党であり、それが強みとされてきた。堂々と批判し、議論することは自らの足元を見つめ直すことにつながろう。
 もとより外交や経済、社会保障など巨大与党の政策は、国民の暮らしに直結する。重い責任を十分に踏まえた活発な論戦を求める。
カテゴリー: 社説


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