2018.07.28 08:00

【最低賃金】深刻さ増す地域間の格差

 都道府県ごとの最低賃金(最賃)の改定について、厚生労働相の諮問機関の中央最低賃金審議会が2018年度の目安額をまとめた。
 全国平均の時給を26円引き上げて874円に、高知県は23円引き上げて760円とする。02年度に現行方式となって以降、ともに最大の引き上げ額となった。今後、各地の地方審議会が目安を踏まえて協議し決定する。
 アップ率は3年連続で3%程度の高い水準である。賃金を底上げし、労働者の所得を増やして個人消費を喚起する―。デフレ脱却を急ぐ安倍政権による「官製賃上げ」の流れと言えよう。
 日本はそもそも、最賃の安さが際立っている。現行の全国平均の時給848円は、円換算で1200円前後のフランスやドイツなどと比べて格段に低い。国民の暮らしを豊かにし、地域の活力につながる最賃の引き上げ自体は歓迎される。
 問題は中小・零細企業への目配りであろう。
 中央最賃審議会で使用者側委員は急激な原油価格の上昇、原材料価格の増大、人件費の高騰などで中小企業の経営環境が厳しいことを指摘。近年の深刻な人手不足に対処するため、「実力以上の賃上げを強いられている」と主張している。
 「最賃アップの負担は大きい」「上げたくても踏み切れない」といった実情は、地方の企業ほど顕著だろう。賃金が最賃を下回った場合は罰則の対象となる。それだけに官製賃上げで企業を追い詰めるような状況はあってはならない。
 半面、最賃格差が深刻なのも事実である。
 本県は17年度までの5年間で計85円上がった。それでも現行737円は、沖縄や熊本など7県とともに最下位グループ。四国内でも最低で、隣県3県より2~29円低い。仮に18年度、目安通り引き上げるとしても最高額の東京との差は現在の221円から225円に拡大する。
 こうした格差が埋まらないままでは、労働者の都市部や隣県への流出を強める要因となってしまう。地域での働き手の確保や移住者を呼び込むためにも、最賃引き上げの必要性はこれからも高まってこよう。
 とはいえ政権による賃上げ圧力の強化だけでは、持続的に賃金を改善していくことにはつながるまい。中小・零細を含めて企業の経営基盤を強化することこそが、最賃アップの「原資」となろう。
 企業の生産効率や収益力を高める支援策は十分か。賃上げを消費拡大につなげていく環境づくりはなされているか。そうした視点からの論議も欠かせない。
 目安額を受けた本県の地方最賃審議会の協議は30日から始まる。
 17年度の審議では労働者側と使用者側の双方が、「早期に時給800円の実現を目指す」との方向で折り合った経緯がある。最賃を巡る労使の主張にはなお隔たりがある中、実現へ向けた道筋をどう描いていくのか。審議の行方が注目される。
カテゴリー: 社説


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