2018.07.24 08:00

【オーテピア開館】合築の成果が問われる

 県都の新図書館基本構想が策定されてから7年余り。複合施設「オーテピア」がきょう、高知市追手筋2丁目に開館する。
 延べ床面積約2万2800平方メートルの5階建て。「オーテピア高知図書館」を核に「オーテピア高知声と点字の図書館」「高知みらい科学館」の3館が同居する。
 立地場所にちなんだ「オーテ」と英語で仲間を意味する「ピア」を組み合わせた名称だ。その名にふさわしい、県民に愛され人々が集う知の拠点を目指したい。
 新図書館は、高知県立図書館と高知市民図書館本館を「合築」するという全国でも例を見ない手法を導入した。
 老朽化した両館を単独で改築するより、経費削減やサービス強化につなげるのが狙いだった。反対の声も根強かったが、両図書館がそれぞれの役割を維持した上で、連携を深めることで前に進めた。
 こうした経緯からも、利用者が合築の利点を感じられる図書館でなければならない。そもそも図書館とは建物だけを指すのではなく、システムやサービスも含むはずだ。合築は開館がゴールではなく、これから始まる。
 600席以上の閲覧席を設けるほか、ビジネスや専門学習にも対応できる相談体制を強化する方針だが、成果として問われるのはやはり利用者数だろう。
 計画では、2014年度に県市合わせて年約62万人だった入館者数を21年度にはオーテピア全体で100万人にする。個人貸し出し点数も2倍以上の110万点を目指すという。
 実現には、県と市の図書館職員がサービス強化へ足並みをそろえることが大切だ。利用状況や運営をしっかりと点検・評価し、改善することも欠かせない。
 利用者の要望によっては開館時間の見直しや人員の強化も必要になろう。効率化だけが目立つ新図書館にならないよう願う。
 市町村立図書館の支援もさらに強化してもらいたい。県内市町村には蔵書やサービス面で低水準の図書館が目立つ。オーテピアが県内の図書館全体の底上げ拠点になることが期待される。
 高知市民図書館は戦後、いち早く自動車文庫や分館造りなどに力を入れたことで知られる。「市立」ではなく「市民の図書館」にこだわった。その視点を失うことがあってはなるまい。
 新図書館は基本方針に「進化型図書館」を掲げる。社会の変化やニーズに対応し、柔軟なサービスを目指すという。市民の暮らしに根差し、進化する図書館が求められる。
 点字図書館や科学館にも期待が集まる。科学館には県内で半世紀ぶりのプラネタリウムが設けられる。理科教員らが常駐し、子どもたちに展示の解説をしたり、イベントを開催したりする意義は大きい。
 企画力や発信力でまた訪れたいと思う場所にする必要がある。
カテゴリー: 社説


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