2018.07.22 08:30

[ふれあい高新in越知町] 夜なべ談議 自然生かした町づくりを

 高知県高岡郡越知町で17日から5日間の日程で開かれた「ふれあい高新in越知町」。20日、町内の旅館で開かれた「夜なべ談議」では、地域おこしなどの分野で活躍している町民4人と、宮田速雄社長ら本社側4人が町の現状や課題を巡り、意見を交わした。過疎化が進む中、豊かな自然を生かした町づくりや紙面への提言について語り合った模様を紹介する。(井上智仁、五十嵐隆浩)=文中敬称略

岡村豊延さん
岡村豊延さん
岡村豊延(おかむら・とよのぶ)さん(80)=越知甲、聖の里小日浦を守る会代表
 佐川町、津野町との境に近い小日浦地区出身。30年ほど前から故郷の活性化のために整備してきた「土佐の投入堂」と呼ばれる聖神社や大タヲ山展望所は、年間千人が訪れる観光名所となった。






佐野友子さん
佐野友子さん
佐野友子(さの・ともこ)さん(49)=越知甲、鎌井田簡易郵便局長
 越知郵便局での勤務を経て、11年前から鎌井田簡易郵便局長。高齢化で継続が難しくなった地域の酒屋も引き継ぎ、人口の減り続ける小集落で事業所を継続させる課題に向き合っている。






仲村貴介さん
仲村貴介さん
仲村貴介(なかむら・たかゆき)さん(40)=浅尾、町地域教育推進協議会会長
 農産物の生産加工販売を手掛ける「岡林農園」取締役。町地域教育推進協議会会長、映画の自主上映を行う「仁淀川えいが!委員会」代表などを務め、町の活性化に取り組む。






金原隆生さん
金原隆生さん
金原隆生(きんばら・たかお)さん(33)=片岡、ゲストハウス経営
 愛知県出身。5年前に地域おこし協力隊として来町し、谷ノ内地区に古民家を改修したゲストハウス「縁―en―」を開業。ラフティング事業も展開し、町の観光振興などに取り組む。








子どもたちの歓声が仁淀川に響く。雄大な自然が町のエネルギー源だ(越知町越知甲=飯野浩和撮影)
子どもたちの歓声が仁淀川に響く。雄大な自然が町のエネルギー源だ(越知町越知甲=飯野浩和撮影)
《夜なべ談義(詳報) 地域づくり》

岡村さん 極端な過疎が課題
佐野さん 若い人の力すごい
仲村さん 「6次産業」に展望
金原さん ネット環境ほしい

 本社 皆さんはどのような活動をされていますか。

 金原 越知に来たきっかけは地域おこし協力隊。5年前になります。協力隊の3年間を過ごして、その後、ゲストハウスを起業しました。協力隊では農家さんの手伝いだったり、集落のイベントのお手伝いだったりして、町民の方と徐々に知り合った。仁淀川の可能性に懸けて起業したという感じですね。

 本社 町のイメージはどうですか。

 金原 最初はコンパクトな整った町だなと。スーパーとか買い物できる商店とかぎゅっと詰まった所だけど、ちょっと走れば自然豊かな場所が広がっている。自分にとっては居心地が良いと思える人の距離感なんだなということも実際に知って、住みやすい町だなと思います。

 本社 町の課題は?

 金原 観光の発信力ですかね。うちのお客さんは圧倒的に県外から来ているので、もっと発信できる力があれば観光地として可能性は十分にある。観光資源がいっぱいある町なので、生かしていくべきだと思います。

 仲村 地元は本当に人材不足で、人が欲しい欲しいとあえいでいる。うちの会社もそうですし、農家さんも後継ぎがおらんと。

 本社 将来的に、お子さんたちには地元で働いてほしいという思いはありますか。

 佐野 息子2人のうち1人は社会人になり、1人は大学生なんですけど、高知県のために働いてほしい。高知県に帰って来て、働いて納税して、暮らしてほしいと言っています。鎌井田地区もIターンの人が1人いて、地区の平均年齢をぐっと下げた。田舎にとって1人、2人ってとても大事で、若い人の力はすごい。一つ一つの努力、思いが積み重なっていくことで高知県全体が力強くなるのでは。

 本社 岡村さんから見て、今の町の状態はどうですか。

 岡村 一番の課題は、人がどんどん減っていくということよね。私が生まれた小日浦(こびうら)地区は小学校が昭和53(1978)年、閉校になった。そうなったら、どんどん減って。当時、地区に約200人いた住人が、今は5人ほど。そんな極端な過疎、減り具合よね。越知町全体がそうなっちょらあね。

 本社 どんどん人が減っていくという切迫感はありますか。

 仲村 僕は楽観視しています。産業がなくなったら人がいなくなるのは仕方がない。1次産業に力を入れなくなったら農山村が廃れていくのは当たり前。今やっているのは「6次産業」。加工や販売もやることで別の産業を生み出して、それで仕事を作っていければいいと考えています。

 本社 他に展望はありそうですか。

 仲村 エネルギーを自給するのがいいかなと思っています。山にはエネルギーがいっぱいある。空からも降り注いでくるし、川の流れもある。それらを利用して、越知町で電力会社をつくりたい。

 本社 今春オープンしたアウトドア総合メーカー「スノーピーク」監修のキャンプ場の相乗効果は?

 金原 効果は、まだピンと来ていないですが、とにかく越知と仁淀川を有名にしてほしい。すごく波に乗って良いスタートを切ったので、楽しみに待っています。

 本社 観光の形態が変わってきて、いわゆる観光地ではなく少し変わった所へ、団体ではなく個人で行く観光客が結構増えている。

 金原 うちの外国人のお客さんはヨーロッパ圏の方が多い。もう大阪とか東京とかには行っているので、「次に」となったときに「日本がすごく好きだから」「もっと知りたいから」と言って「自然の多い四国に、高知に来た」みたいなことをよく言いますね。

 本社 外国の方を受け入れる態勢は、どうなんでしょうか。

 岡村 商店には、高齢で英語とかを話せない人も多くて、なかなか苦労するみたいやね。若い人だったら、ちょっと聞きよったら分かるけどね。

 本社 佐野さんから見た商店街は、どんな感じですか。

 佐野 やっぱり高齢化で何年か前まで、どよーんとした感じはしてたんですけど、最近は何かちょっと元気が出てきた感じがする。起業したい人もいると思うんですよ。大きい会社じゃなくて、得意なものを売ってみたい、ネット販売だけじゃなくて店舗も欲しいというような。

 本社 越知のためにこうしたら良い、というようなアイデアはありますか。

 金原 できればインターネット環境は整えたい。光回線は、この町の中心地だけです。
 佐野 簡易郵便局の兼業で酒屋を始めて、ネット販売もしているんですけど、ネット環境が悪すぎて経費がかかってしまう。多分、移住される方はネット環境をすごく重要視されると思う。

 金原 (ネット環境整備に)莫大(ばくだい)なお金が必要だということも知っているので、町がすぐにどうこうするのは難しいとは思いますけど、これが整えば、外から入ってくる人も増えるかもしれないし、いろんな可能性が一気に広がると思いますね。

 仲村 インフラだと思って整備してもらいたいですね。


本社への提言 地域の話題掘り下げて
 本社 高知新聞に対する注文や期待を聞かせてください。

 佐野 朝、カラフルで明るい新聞を見ると、少し幸せな気分になります。記事で一番うれしいのは、地域おこし協力隊のニュース。本当に多彩な方がいる。いろんな方に入ってきていただいて、そういう多彩なものに触れることができて、高知県が元気になっているなと思ってうれしくなります。

 本社 越知で長く生活されている岡村さんは、掘り下げてほしい話がいろいろあるんじゃないですか。

 岡村 過疎で人が少なくなりゆう地域地域に、みんなに見てもらいたいところがあるわけよね。それを住民の人が新聞社とともに掘り下げて発信したら、まだまだ出てくるんじゃないろうか。人口が減って、今までやりよった行事なんかが続けられんというような話もある。

 本社 いつの間にかなくなっていき、忘れられていくようなものがたくさんある。そんなものを「ちょっと待てよ、これでいいのか」と示していくことも大事だと思う。

 金原 集落のイベントがなくなったというのを目の前で見て、消えていく理由まで聞いた。年配の人たちが楽しむのが最初のきっかけだったけど、外から人が来るようになったから、その人たちを楽しませるというふうになり、最後は「疲れた。もう無理だ」と。復活させたいとか言いたいけど、簡単なことじゃないというのも分かります。でも、そういうことも記事の材料に十分になるんじゃないかな。そこにはドラマがあるんですよね。僕は普段、新聞を読まない。読むぞっというときは読みますけど、それは地方面。自分に直結感があるから。

 本社 地方の話が1面に大きく出ていたら、新聞への距離感は近く感じますか。

 金原 自分に近い話だったら間違いなく読みます。確かに1面にドンと載っていたら、ぱっと見るかもしれませんね。

 岡村 自分はずっと高新。仕事が忙しかった頃は新聞が着く前に出勤とかしよったけど、今は朝起きて洗顔したら、絶対に新聞全ページに目を通す習慣になっちゅう。

 佐野 たまに時間が空いたときに、隅々までじっくり読むんですよ。正直、新聞は面白いと思っていて、普段気付かない小さな記事とかも。ただ、よくイベントとかを後日のニュースで見るんですけど、手前に知らせてもらいたかったなって思うこともあります。

 仲村 ローカルの紙面がもっとあったら面白いと思う。話題的なことと別に普通の生活みたいなことも。新聞って文章がちゃんとしているから、教育にもすごい使える。手に取ってもらうには1面をがらっと変えるといいんじゃないですかね。他の新聞が出してないような1面にするとか。

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2018社会高吾北


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