2018.07.22 08:00

【通常国会閉幕】機能不全の「言論の府」

 32日間にわたって会期が延長された通常国会がきょう閉幕する。
 立て続けに再燃した安倍政権の不祥事は、何ら解明が進まなかった。不備が多く指摘される重要法案も議論が尽くされないまま、数の力で採決が強行された。
 原因は安倍首相、あるいは安倍政権の説明姿勢にある。質問に真正面から答えず、論点をそらし、はぐらかす。異論には耳を傾けない。その結果、時間は浪費され、時間切れで強引な決着が繰り返されている。
 国会を軽視する政権の体質は官僚にも波及しているようだ。国会では不誠実な答弁が相次ぎ、「ない」としていた文書が次々に出てきた。民主主義の根幹を揺るがす事態だ。
 森友学園への国有地売却問題では、財務官僚が国会でうそを重ね、決裁文書まで改ざんしていたことが明らかになった。
 財務省は内部調査に基づき関係者を処分して幕引きを図った。だが、肝心の動機について、麻生財務相は「それが分かれば苦労せんのですよ」と言い放った。
 これでは真相解明は進まない。問題の核心は、安倍首相夫妻の影響や官僚側の忖度(そんたく)の有無であり、政治が私物化されていたかどうかだ。
 幕引きを許してはならないのは、加計学園の獣医学部新設問題も同じである。安倍首相の腹心の友が理事長を務める加計学園ありきだったのか。疑惑は何も晴れていない。
 この問題でも元首相秘書官が「記憶にない」と繰り返してきた愛媛県職員らとの面会について、国会答弁を覆す文書が次々に見つかった。
 共通するのは、政権に都合が悪いことは隠す体質である。全体の奉仕者であるはずの官僚の顔が、国民ではなく、首相官邸に向いている。6年近く権力を振るう「1強政治」の弊害を色濃く映し出している。
 その官僚に責任を押し付け、政治責任を取らない政権の体質もあらわになった。特に財務事務次官のセクハラ問題も抱えた麻生財務相は引責辞任を拒み続け、その言動は国民感覚とのずれを印象づけた。
 政権の説明姿勢の欠如は重要法案の審議にも及んだ。国民の納得を欠いたまま社会は変わっていく。
 安倍首相が今国会の看板に掲げた働き方改革関連法では、厚生労働省の不適切データが明らかになった。高度プロフェッショナル制度は、長時間労働を助長する懸念を残したままだ。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法も議論は尽くされていない。ギャンブル依存症対策や地域経済効果への疑問が膨らむ中、与党などが強引に押し切った。
 行政府を監視する国会の重要な役割を果たせない責任は、野党の非力にもあろう。だがその前に、安倍政権の下では疑問にまともに答えない、不誠実な権力の姿勢が議論の空洞化を招いている。
 「言論の府」である国会が機能不全に陥っている。その自覚と改善する意思を与野党に求める。
カテゴリー: 社説


ページトップへ