2018.07.21 14:57

[ふれあい高新in越知町]児童が仕切る授業 全国から視察相次ぐ

全国から「学びが、すごい」と視察相次ぐ
意見を出し合い、授業をつくっていく越知小学校の子どもたち(越知町越知甲) 
意見を出し合い、授業をつくっていく越知小学校の子どもたち(越知町越知甲) 
 高知県高岡郡越知町の小中学校に近年、県外から多くの先生が視察に訪れている。「学びが、すごい」と感心する先生も多いようだ。教室をのぞくと、「子ども中心の授業風景」が広がっていた。

 越知小学校5年の教室。「今日の学習の流れを確認します」という声で国語の授業が始まった。授業をどう進めていくかの見通しに始まり、グループで話し合う時間を何分にするかなど、これから始まる授業の“設計図”が示されていった。

 てきぱきと説明をしているのは教員ではない。この日の司会役を任された2人の児童だ。担任の教員はその間、せっせと授業の準備をしていた。

 この後も担任が“前に出る”場面は少なかった。児童の仕切りで授業は進み、それぞれが考え、次に席の近い2人で話し合い、その議論を基に今度はグループで話し合い…。担任は子どもたちの間を巡回しながら、議論が行き詰まっているときに参考になるキーワードを示していく。

 教員が説明し、進行する授業はもちろんあるが、その際も子どもが自力で考え、仲間と話し合って解決策を探ることに力点を置いているという。竹内満校長は「先生ばかりが話す従来型の授業だと、できる子だけが答える流れになりかねない」。子どもたちが自分と違う視点に触れることが大事だとし、「主体的な体験を経て自ら学んだことは頭に残る」と説明する。

■学テショック
 全国学力テストが始まった2007年度。越知町内の小学校、中学校の成績は全国平均より低く、教科によっては県平均にも届かなかった。

 山中弘孝教育長は「県内でも学力は低い方ではないだろうと思っていた」とし、その予想を裏切る結果に「ショックでした」と振り返る。

 越知の教育改革はここから始まった。小中学校が合同で研修を行い、積極的に県外視察を行って先進的な取り組みを学んだ。越知町教育委員会幹部も学校現場を訪問し、現状把握と協力体制の強化に努めた。

 試行錯誤の末にたどり着いたのが、「子ども中心」の授業づくりだった。東京都の元公立小学校長で高知県教育センターの若年教員研修アドバイザーを務める西留安雄さんの実践を参考に、2013年度から本格的に取り組んだ。

 当初は子どもにも教員にも戸惑いはあったという。

 西田沙也加教諭は越知小学校に赴任した2年前、前任校とあまりにも違う授業風景に驚いた。「教師が入らずに子どもだけで授業ができるわけがないと思っていた」という。

 実際に取り組んでみると、発見することが多々あった。

 「大人より友達の言葉の方が分かりやすかったり、自ら動いて考えることで納得できたりもするのでは」

 赴任5年目の高橋小夜教諭は「子どもが授業を進めてくれると、教師は子どものつまずきやその乗り越え方を客観的に見ることができる」と話す。

 2012年度から越知小学校の校長を6年間務めた岡林康雄・伊野小校長は「子どもが積極的になり、表現力や知識の活用力が出るなど成果が出た」と振り返る。

■5年で51件
 「学テショック」に始まる授業改革の取り組みを経て、2013年度には越知小、中とも学テの結果が全国平均、県平均を上回った。

 2013年度以降は県内のみならず全国から視察が来るようになった。2017年度までの5年間に計51団体を受け入れ、今秋も東京都の小学校が来る予定だ。

 昨年度、越知小中学校を視察した熊本県天草市学校教育課の酒井成寿さんは「子どもが主体的に課題の発見や解決に取り組む学び方がすごい。先生たちの意識改革が大きいんでしょうか」と驚きを語る。

 職員会議や運動会の全体練習を大幅に短縮するなどの取り組みも進めた。捻出した時間は補習などに充てて、教員が子どもに向き合う時間を増やしているという。

 山中教育長は「山の小さい町でも全国水準の教育環境にしたかった。目指す形は一定できてきたと思う。越知で学んでよかったと思ってもらえるように今後も取り組みたい」と成果を実感している。(森田千尋)

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カテゴリー: ふれあい高新2018社会教育高吾北


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