2018.07.21 08:40

[ふれあい高新in越知町]山間に「自由軒本店」 口コミで人気拡大

定番のみそカツラーメンを仕上げる大将の山地文博さん。カツは揚げたて(越知町野老山の自由軒本店)
定番のみそカツラーメンを仕上げる大将の山地文博さん。カツは揚げたて(越知町野老山の自由軒本店)
 高知県高岡郡越知町野老山(ところやま)の仁淀川沿い。国道33号から町道に入った緑濃い山あいに「自由軒本店」がある。創業46年。町内外の家族連れやツーリング客らがひっきりなしに訪れる人気ラーメン店だ。愛され続けるその理由とは―。
    
 「定番のみそカツでしょ」「断然、しょうゆチャーハン」「塩、中華飯オンリー」

 客にお気に入りを聞くと好みはそれぞれ。大将の山地文博さん(68)は「何を食べても『うまい!』と言われたいねえ」。日曜日に出るラーメンはざっと300~400杯という。

家族連れ、ツーリング客、仕事帰り…。訪れる客たちを店の明かりが包む
家族連れ、ツーリング客、仕事帰り…。訪れる客たちを店の明かりが包む
 山地さんが店を構えたのは1972年、22歳の時。東京からUターンし、越知町中の商店街で料理屋「自由軒」を営んでいた母親らの勧めで、屋号を引き継いだ。当時はうどんや丼物も出す、いわゆる国道沿いの食堂だった。

 「最初の3年ぐらいは低空飛行。ちっともいかんかった」。競合店の存在もあり、客が数人、売り上げ5千円の日もあったという。

 そこで一念発起。好きなラーメン店をやろうと決意。方向転換したのだが…。

 「独学やったし、味、悩みましたわ。十二指腸潰瘍になった」。「佐川のあの店の方がうまい」と客に言われては、食べに行った。スープの出来に納得がいかず、全部捨てて店を休んだこともある。

 研究を重ねること2年。透き通った鶏がらスープに弾力のある特注のストレート麺と自家製チャーシュー。納得のいく味に行き着いた。

 開店から5年ほどすると、口コミで評判が広がり、商売が軌道に乗り始めた。1983年に大津店(高知市)を出店。葉山店(高岡郡津野町)、伊野出来地店(吾川郡いの町)と拡大するに従って、県内外のラーメン好きの間で知られる人気チェーンに成長した。

 自由軒ファンが口をそろえるのが、万人受けする優しい味と、木造店のアットホームな雰囲気。

 「父親が大津店のファンで、いつも開店10分前に駐車場でスタンバイしてます」と話す高知市の女性会社員(24)は「昔ながらの家庭的な雰囲気。味がつんつんしてないのが良い」とにっこり。

 妻と息子2人で本店を訪れた高知市の男性会社員(41)は「実家が仁淀川町で親とも来てました。ついつい寄ってしまう」と塩ラーメンをすすった。

 本店は2007年、越知道路の一部開通によって国道沿いではなくなった。幹線道路からわざわざ行かなければいけない立地となったが、客足は途切れない。それは店自体が“目的地”となっている証拠だろう。

 「おかげさまで浮き沈み少なくやってこれた」。山地さんはそう振り返り、今日も調理場に立つ。

 「こだわりを前面に出す店もあるけど、うちはさりげなく。客が『うまい』と言うてくれたら、それでよし」(大野泰士)

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2018社会高吾北


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