2018.07.20 08:32

[ふれあい高新in越知町] 野菜作りで健康、交流、収入「一石三鳥」

育てた野菜を持ち寄り、仲良く出荷作業をする中大平地区の女性ら(越知町中大平)
育てた野菜を持ち寄り、仲良く出荷作業をする中大平地区の女性ら(越知町中大平)
斜面にある畑でピーマンやシシトウを収穫する古味アサ子さん(越知町中大平)
斜面にある畑でピーマンやシシトウを収穫する古味アサ子さん(越知町中大平)
 おばあちゃんたちが作った野菜を町職員が集めて出荷する仕組みが、高知県高岡郡越知町の中大平地区で軌道に乗っている。楽しんで作る野菜が、町内の直販所の品ぞろえの充実につながり、それがまたお年寄りたちのやりがいに…と、“おいしい循環”を生んでいる。

 シシトウにオクラ、ナス、トマト…。7月中旬、中大平地区の女性7人が集まり、夏野菜が入った袋に値札シールを貼っていった。「えい色のパプリカやねえ」「ミョウガも大きい」。笑い声が響く。

 中大平地区では1週間に1、2度の頻度で、住民がそれぞれ育てた野菜を持ち寄っている。集落支援員と呼ばれる町の非常勤職員がこれを一括して、越知町の観光物産館「おち駅」直販所に出荷するのだ。

 この取り組みは昨年、越知町役場が話を持ち掛けて始まった。

 きっかけは直販所の野菜が品薄になったことだった。越知町はふるさと納税の返礼品として直販所に出品された野菜の詰め合わせを贈っていた。ところがこれが人気で、町民や観光客向けの野菜が少ない状態になった。

 そこで思いついたのが、お年寄りの力を借りることだった。越知町も全国の傾向に漏れず、住民の高齢化に伴う健康づくりやコミュニティーの維持が課題。野菜の集出荷は、お年寄りが体を動かす▽住民の交流の場をつくる▽直販所の充実―の3点を一気に解決できるのではと考えた。

 中大平地区は22世帯が暮らす山あいの集落で、高齢化率は60%超。町から話が来た当初、住民らは「今まで出したこともないし…」と乗り気ではなかったという。

 しかし実際始めてみると、何人もから「面白い」の声が上がった。それまで住民が集まる機会は月に1度あるかどうか。それが週1、2度、顔を合わすようになり「集まるだけでも楽しい」。月に数万円売り上げた人もおり、その効果か、「おち駅」の店頭での販売額も前年度を上回った。

 参加する古味文子さん(76)は「(集出荷事業で)集落の畑がいっつも緑になった。家におらんようになって、体にえい」とにっこり。古味アサ子さん(83)は数年前に夫に先立たれ、「さみしゅうて何にもする気が起きんなっちょった」。だが、野菜を出し始めて「朝も早うから起きて元気になるし、お金が入ると孫らにあげれるけ、うれしい」。家族や知人からも「若返ったね」「姿勢がようなった」と声を掛けられた。

 越知町地域包括支援センターの矢野雄二さん(40)は「野菜作りで体を動かし、社会的役割も得ることで山間部の高齢者に元気になってもらいたい。集出荷が地域で支え合う仕組みにつながっていけば」と期待する。町は今後、別の山間集落でも取り組みの普及を目指していくという。(森田千尋)

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2018社会高吾北


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