2018.07.18 08:35

[ふれあい高新in越知町]薬用植物、越知に根付く ツムラと提携

山あいの畑で育つミシマサイコ。冬に収穫して根を出荷する(越知町横畠中)
山あいの畑で育つミシマサイコ。冬に収穫して根を出荷する(越知町横畠中)
夏はダイダイの最盛期。選果機もフル稼働(越知町今成)
夏はダイダイの最盛期。選果機もフル稼働(越知町今成)
水はけ、日当たり良し 栽培法も改良
 健康も、山の暮らしも根強く支え―。高知県高岡郡越知町では、漢方薬の原料となる薬用植物の生産が盛んだ。山間部を中心に約160人が3種類の薬草を栽培し、生薬に加工して製薬会社に一括販売している。国内でも有数という一大産地の今を紹介する。

 町北部の横畠地区。くねくね道を上がった標高約400メートルの畑で、セリ科の多年草「ミシマサイコ」が風に揺れていた。冬に収穫し、根を乾燥させると、解熱などに効能があるとされる漢方薬の原料になる。
 町内で生産される主な薬草はミシマサイコ、ダイダイ、サンショウの3種類で、山間部を中心に計約82ヘクタールの畑がある。1990年からは、生産者らでつくる農事組合法人「ヒューマンライフ土佐」が漢方薬大手のツムラ(東京)と契約。年間約4億円を売り上げる。

■県内外に
 越知町で薬草栽培が始まったのは86年。急傾斜地で栽培でき、収穫物が軽く高齢者にも扱いやすいなどの理由でミシマサイコが導入された。
 「ヒューマン―」の山中嘉寿馬(かずま)代表理事(72)は「山あいの畑は水はけと日当たりが良く、栽培に適していた。栽培方法も改良し、越知はどの場所よりも収量が多かった」と話す。

 面積は順調に増え、95年ごろには計66ヘクタールに達した。ツムラの生産調整で減った時期もあったが、ダイダイやサンショウなどの栽培も始め、農家の安定した収入源となっている。

 15年ほど前からは県内外に栽培地を拡大。愛媛県久万高原町や宿毛市のほか、香川県にも生産組合員を抱えるまでになった。

■地域産業
 夏はダイダイとサンショウの最盛期。毎日午後3時を回ると、今成地区の加工場に生産者がひっきりなしに収穫物を持ち込む。

 サンショウだけで多い日は5トンにもなる。「ヒューマン―」の職員は「この時期は目が回る忙しさ」と汗を拭う。いずれも機械で乾燥させて出荷する。

 漢方薬の国内需要は増加傾向にあり、薬草栽培は中山間地域の産業として期待される。一方で、近年は農家の高齢化が進み、組合員の平均年齢は65歳前後という。

 若手の生産農家、和田泰明(ひろあき)さん(34)=横畠北=は祖父の代からミシマサイコの栽培に取り組む。「今は規模を維持しながら収量をどう上げるかが課題。薬草は価格が安定しているので、若い農家も増えてほしい」と将来を見据えた。(山本仁)

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カテゴリー: 社会ふれあい高新2018社会高吾北

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