2018.07.15 08:00

【豪雨から1週間】復旧と検証を急ぎたい

 西日本を中心とした豪雨災害から1週間がたった。14府県で200人超が犠牲になり、依然多くの住民の行方が分かっていない。
 被災地は予断を許さない状況だ。数千人が避難生活を余儀なくされ、道路も各地で寸断したままになっている。折からの猛暑や人手不足で浸水家屋の後片付けも進まず、土石流の危険が続く地域もある。
 官民挙げて、不明者の一刻も早い発見と、被災地の復旧、被災者への生活支援が急がれる。政府には対応の一層の強化を求める。
 捜索や復旧の現場はきのうも35度を超える場所が相次いだ。各地で災害ボランティアが熱中症の疑いで救急搬送された。
 被災者の疲労もたまっているはずだ。東日本大震災や熊本地震では、高齢者を中心に被災後に亡くなる「災害関連死」が目立った。医療、福祉面のケアが欠かせない。
 今回の豪雨災害は広範囲にわたった。国土交通省によると、22の河川で堤防が決壊し、水位上昇による氾濫は西日本以外も含め全国163河川に上る。
 特に広島、岡山、愛媛の被害が大きく、岡山県倉敷市真備町では最大約5千世帯が浸水したとみられる。広島や愛媛では土砂崩れによる被害も深刻だ。
 高知県では3人が犠牲になった。大豊町の高知自動車道の大規模損壊も衝撃だ。高知にとって流通の大動脈であり、防災上の「命の道」の強度や安全性が揺らぎかねない。
 各地で、企業や農林水産業の被害も次第に明らかになっている。地方経済への影響は計り知れまい。各方面から被害の全容把握と対策が求められる。
 豪雨は地震と違い、事前に一定の予測が可能だ。観測の科学技術も進歩してきた。それでも今回、平成に入って最悪の水害が起きた。
 なぜ、被害はここまで拡大したのか。「想定外」の雨で済ませてはならない。
 浸水地域では、逃げ遅れて自宅で溺死した住民が相次いだ。犠牲者は高齢者が多かった。
 気象庁や自治体からの警報や避難の呼び掛けが適切だったのかが問われよう。大雨の夜間に高齢者が避難することは容易ではない。情報発信のタイミングや避難の誘導なども検証する必要がある。
 倉敷市真備町は過去の災害や地形から、行政や専門家が洪水危険地帯だと分かっていたはずだが、住民と危機意識を共有できていなかった。あまりに大きい代償だ。
 近年は豪雨の規模や頻度が増している。今回の豪雨を見ても、ハード面の想定を超えるケースを十分踏まえておく必要がある。行政も住民も早めの避難といったソフト面の防災強化が欠かせないだろう。
 復旧も検証も急ぎたい。大雨が心配される季節は秋まで続く。台風シーズンはこれからだ。被災地だけでなく、被害を免れた地域も油断できない。
カテゴリー: 社説


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