2018.07.13 08:38

犠牲者情報「県に一元化」 高知県警の自治体任せに課題も

 西日本豪雨による死者や行方不明者の氏名の公表を巡り、高知県内警察署の対応が割れた背景に、国の防災基本計画がある。昨春までの防災基本計画の見直しで、県警などが情報収集した犠牲者らの「数」を県に集約することになったが、県警はこれを“拡大解釈”。犠牲者らの「氏名」を含めて「発表は県に一元化する」と県側に伝えていた。県もこれを了承したが、今後の災害で適切な広報が行われるかは見通せていない。
 
 過去の県内の災害では、県警が死者や行方不明者の氏名を公表してきた経緯があり、県や市町村は氏名などを積極的に公表していなかった。
 
 しかし、昨年4月までの防災基本計画の見直しで、死者や行方不明者などの数は都道府県が一元的に集約、調整を行うことが明記された。これを受け、県警は県側と報道発表のあり方を協議。同年9月に「氏名や年齢などの人定情報も含めて県へ一元化する」と伝えたという。
 
 ただ、方針変更は県警内でも周知されておらず、今回の豪雨でも亡くなった人を実名で発表した署があった一方で、「災害時の広報は県が行うこと」として取材に対する説明を拒む署があるなど、対応が割れた。
 
 県側は県警の方針変更を了承したものの、犠牲者の氏名などの情報を積極的に発表するわけではない。個人情報保護の観点から、家族の同意がなければ広報はできないとしており、同意を得た後に報道機関からの問い合わせがあれば説明する、という受け身の姿勢だ。
 
 しかも、同意を得るために家族に接触するのは警察官や県職員ではなく市町村職員。災害時には、避難所の開設や支援物資の受け入れなど多様な業務が予想され、県東部の町職員は「小さい自治体は人も足りず、家族の了解を得ることを優先するのは難しい。ノウハウがある警察などに対応してもらった方がいい」とする。
 
 全国では自治体の広報が混乱を生じさせたケースもある。2015年の関東・東北豪雨で、茨城県と常総市は個人情報保護を理由に行方不明者の氏名などを明らかにせず「15人の不明者がいる」とだけ発表。実際は全員無事だったが、自衛隊などは安否確認ができないまま3日間、捜索を続けた。
 
 高知県危機管理・防災課は、大規模災害で多数の死者や行方不明者が出た場合、例外措置として家族の同意を得ずに氏名や年齢など公表するか、対応を検討するとしている。南海トラフ地震に備え、適切な広報体制は築けるのか―。(高知新聞取材班)

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カテゴリー: 社会西日本豪雨災害・防災


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