2018.07.12 08:30

西日本豪雨でユズ園に濁水、土砂 高知県内で農業被害相次ぐ

土砂崩れで根こそぎ木が流されるなどの被害が出たユズ園(10日、香美市物部町影仙頭)
土砂崩れで根こそぎ木が流されるなどの被害が出たユズ園(10日、香美市物部町影仙頭)
 高知県内各地に甚大な被害をもたらした西日本豪雨では農業被害も相次いだ。安芸市や香美市のユズなどで被害が拡大しており、生産者らは「元に戻すのは難しい」と肩を落としている。

河川敷のような姿になった有沢光喜さんらの水田(11日午後、安芸市入河内)
河川敷のような姿になった有沢光喜さんらの水田(11日午後、安芸市入河内)
 11日までの県のまとめによると、県内の農作物で被害が最も大きいのはユズ。安芸市や香美市などで、氾濫した川に木が流されたり畑に土砂が流入したりして、被害額は7233万円に上った。
 
 安芸川が氾濫するなどした安芸市では伊尾木川でも増水があり、中流域に当たる黒瀬地区の約1・4ヘクタールでユズを栽培する信清哉宏(ちかひろ)さん(54)の農園は、8割以上が濁水に沈んだ。「高いところでは1・5メートルほど水が来た」といい、一部の木は根こそぎ押し流され、残った木々の間には流木やごみが絡まっていた。
 
 収穫期を迎えていた青玉ユズのハウスにも土砂が流入。柱が折れ曲がったハウス内で後片付けする信清さんは「一部残ったきれいな実だけは収穫したい」と気丈に話した。
 
 香美市物部町影仙頭の坂本浩幸さん(57)が管理する80アールのユズ園でも土砂崩れが多発。農地ごと木が流された。「こんな被害は初めて。今年は表年で期待しちょったのに…」。坂本さんは「木を助けたいが、道が崩れて行けん。病害虫で弱っていく木をただ見ることしかできん」と無念さをにじませた。
 
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 県内では他にメロンや水稲、ミョウガなどでも被害が拡大。11日時点で、メロンは香南市などの2・76ヘクタールで6929万円の被害が出た。JA土佐香美によると、同市夜須町のエメラルドメロン農家3戸で、出荷間際だったメロン計約1万1千個が水没したという。
 
 8日に大雨特別警報が発令された宿毛市では、平田地区などの水田約80ヘクタールが被災した。同地区の男性農家(61)の水田も、一部で苗が1週間にわたり水没。根が腐り、苗を植え替えざるを得なくなり、「こたえた」と疲れた顔を見せた。
 
 特産のブンタンも打撃を受けた。宇須々木地区で約3ヘクタールを栽培する大串重吉さん(82)は50本以上の木を濁流に流され、「とても手に負えん。廃業も考えないかんかもしれん」とうなだれた。
 
 安芸市入河内地区で、酒米「吟の夢」を育てていた有沢光喜さん(65)らの約60アールの田んぼ。5月末に田植えをし、青々とした稲が育っていた一帯は、流木や大きな石が転がり、まるで河川敷のような景色に姿を変えた。有沢さんは「元に戻すのはなかなか…」とため息をついた。
 
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 県によると、3日から4日かけて接近した台風7号と、8日までの大雨による農作物被害は、194・39ヘクタールで2億2502万円。ハウスの倒壊やパイプの曲がり、環境制御機器の破損など施設被害を含めると20市町村、計212・41ヘクタール、被害額は計3億1784万円となっており、今後も数字は膨らむという。
 
 県農業政策課は今回の被害について「農地ごと削り取られるケースが相次いだ」とし、「被害額としては大きくなくても、ユズなどでは数年にわたって影響が出るかもしれない」と懸念している。(高知新聞取材班)

カテゴリー: 政治・経済大雨・災害特集


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