2018.07.12 08:35

豪雨犠牲者の氏名公表 高知県警や消防で対応割れる 連携不足も

大雨で男性が流された現場で、男性が乗っていたとみられる車を調べる消防隊員(8日午後、香南市香我美町の香宗川)
大雨で男性が流された現場で、男性が乗っていたとみられる車を調べる消防隊員(8日午後、香南市香我美町の香宗川)
南海トラフ地震対応に不安残す
 高知県内でも2人が死亡、1人が行方不明になっている西日本豪雨の犠牲者の氏名の公表を巡り、県警や消防の対応が割れている。県警では実名を発表する署がある一方、「災害の広報は県が対応することだ」として匿名にこだわる署も。県警と消防、海上保安部の連携不足もうかがえ、南海トラフ地震などの大規模災害の対応に不安を残している。

 6日早朝、香南市で男性が車ごと川に流され、行方不明になった。南国署の副署長は「署と消防に通報があり、二つの通報が別件の可能性がある」として、男性の氏名だけでなく、不明者が出たこと自体の報道発表も拒んだ。

 香南市消防本部の署長も「家族がそっとしてほしいと言っている」「2、3日待ってほしい」として不明男性の身元について説明しなかった。

 同署と同消防本部が捜索を続けていた7日、テレビ局が家族への取材で男性の氏名を報道すると、同署副署長は「出すのはおかしい。私からは言わない」と言った。

 一方で8日正午前、宿毛署は大雨による家屋の崩壊で幡多郡大月町の女性が亡くなったことを実名で発表。宿毛署次長は「事実関係が判明したならば早い方がいいと思って公表した」としたが、南国署副署長は「なぜ宿毛署は名前を出すのか」と自らと違う判断を疑問視した。

 9日午前、四万十市の海岸で男性の遺体が見つかり、県警は香南市の男性の可能性があるとみてDNA鑑定を進めた。しかし、その情報は10日午後1時ごろに県警から「身元特定」の連絡を受けるまで香南市消防本部には伝わらなかった。

 高知海上保安部も10日朝から香南市沖に巡視船を出して捜索を始めていた。

 連絡が届くまで捜索を続けた消防署長は「もう少し情報共有などで連携できたのでは」と話す一方、南国署副署長は「なぜ捜査の内容を消防に言う必要があるのか」と強調。身元の特定については認めたものの、実名は今も発表していない。

 「息子の名前が報道されることで報われることがあるかな、と家族で話し合いました」。10日午後、取材に応じた男性の父はそう語り、男性の妻は記者に顔写真を提供した。

 県警災害対策課と県危機管理・防災課によると、災害犠牲者の氏名などの情報について、県が報道対応を担うことになっているという。ただ、過去の災害で県が積極的に犠牲者の情報を発表したことはなく、県警や警察署の判断で対応してきた経過がある。

 ある県警幹部は、今回の豪雨で広報のばらつきや関係機関との連携に課題があったことを認め、「南海トラフ地震の時はもっと厳しい。平時からしっかり詰めておかないといけない」と指摘した。(高知新聞取材班)

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カテゴリー: 社会西日本豪雨災害・防災


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