2018.07.12 08:40

高知県夜須町沖のサンゴ大量死 白化に冬場の低水温追い打ち

低水温の影響を受け、大半が死んだとみられる夫婦岩付近のサンゴ(5月、目崎拓真さん提供)
低水温の影響を受け、大半が死んだとみられる夫婦岩付近のサンゴ(5月、目崎拓真さん提供)


 高知県内有数のサンゴの生息地、香南市夜須町沖で、サンゴの大量死が起きている。黒潮生物研究所(幡多郡大月町)の調査によると9割が死滅した地点も。黒潮の蛇行などによる冬場の記録的な低水温が原因とみられる。白化の影響を受けていたサンゴに低水温が追い打ちを掛けた形。同研究所も「少なくともここ30年近く、これほどひどい状況はない」と危機感を募らせている。



 大手の浜や手結岬、塩谷海岸周辺の沿岸域には、テーブル状のミドリイシやエダサンゴなどが群生。人口密集地に近い海にもかかわらず生息数が多く、サンゴが海底を覆う面積の割合「被度」が高いことでも知られる。

 サンゴは夏の高水温や冬の低水温が続くと、体内で栄養を供給する植物プランクトン褐虫藻(かっちゅうそう)との共生関係が崩れ、白化する。白化が長期化すると死んでしまう。

 黒潮生物研究所の目崎拓真主任研究員が5月、高知県夜須町沖の16地点(各50メートル四方)を調査。低水温の影響を強く受ける浅場の被害が特に深刻で、夫婦岩付近は被度50%(2016年)が5%未満へ大幅に下がっていた。16地点の平均被度も15ポイント以上低下していた。

 今回の大量死は、黒潮が蛇行して室戸沖からそれたことに、寒波も加わって海水温が記録的な低さになったことが原因とみられる。大手の浜(水深3メートル地点)では、今年2月の平均水温が13・5度(前年16・0度)、最低水温は11・3度(同13・4度)だった。

 夜須町沖では2017年、夏場に高水温が続き、広範囲でサンゴが白化。その後、水温が下がり、回復が確認されていたが、「(昨夏の白化で)弱っていたこともあり、“ダブルパンチ”で被害がより深刻になったのでは」と目崎さんはみる。

 黒潮生物研究所は、安芸郡奈半利町沖でも全体の5割ほどが死滅していることを確認。紀伊半島沿岸にも、低水温の被害が広がっている。

 一度死んだサンゴは回復しない。安定した水中環境が続いたとしても、大量死以前の状態に戻るまで「10~20年はかかる」と目崎さん。さらに、今回の西日本豪雨について「(夜須町沖の)サンゴは物部川や香宗川の影響を受けやすい。濁水が続くと心配」と話している。(村中澄怜)

カテゴリー: 主要環境・科学香長


ページトップへ